卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名藤本 昌代 年度2025年度
タイトルレコードショップの現代的役割 
内容 本稿では、音楽消費のデジタル化が進む現代社会において、レコードショップがいかにしてその存在意義を確立し、社会的・文化的役割を担っているかについて、レコード店での店員と顧客への半構造化インタビューを通して考察した。調査の結果レコードショップはEコマースとの価格競争から離脱し、ただレコードを売る店ではなく顧客に「知識」と「体験」、「居場所」を与える空間へと変化していることがわかった。レコードに対する認識は世代間で異なり、若年層はレコードに対して音楽を聴くためのメディアとしてではなく、「所有」することで価値を見出していた。一方でレコードを聴き続けている中年層や高齢層は今でもレコードが生活の一部となっており、来店動機も多岐に渡った。また、レコードショップが多くの人のサードプレイスとしても機能していることも明らかになった。レコードショップには1人で黙々と探求したい顧客や、他者との交流を求めて来店する顧客など異なる属性の顧客が訪れるが、そのすべての人にとって過ごしやすい空間となっており、人間関係が希薄になっているデジタル社会におけるオフラインのサードプレイスとなっていた。
講評 本稿は、デジタルコンテンツ、ECサイト全盛期の現代において、人々がなぜ店舗でのレコード購入を行うのかということを調べた研究である。調査では京都市の繁華街にあるレコード店の店長、顧客に店長、店員の役割、顧客がレコード店(店員)に期待する役割について半構造化インタビューを行っている。調査ではサードプレイスとしてのレコード店、専門家としての店員の知識供与、装飾品としてのジャケットの価値等、顧客の知識獲得・音楽体験・心地よい居場所としての空間であることを明らかにしている。世代間ではデジタルネイティブの若者世代には「所有」することの価値が評価され、中高年層にはレコードが生活の一部であるという必然性の高い存在であるという世代間の価値の意味、質の違いの存在を明らかにしている。そしてレコードショップは、世代にかかわらない現象として、訪れる人すべてにとってのオフラインのサードプレイスであることを示している。本研究は近いテーマの研究は少ないながら、関わりそうな社会学概念を探し、理論的分析枠組みが構築されて検討されていれば、より深い議論ができたと思われる。
キーワード1 居場所
キーワード2 体験
キーワード3 所有
キーワード4
キーワード5