| 学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 藤本 昌代 | 年度 | 2025年度 |
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| タイトル | 静かな共同性としてのミニシアター ―観客経験にみる自己回復と社会的意義― | ||||
| 内容 | 本研究は、ミニシアターにおける観客経験に着目し、その社会的・文化的意義を明らかにすることを目的とした。観客およびスタッフへのインタビューを通じて、ミニシアターが個人の心理的回復、観客同士の静かな共同性、地域文化の拠点という多層的な役割を担っていることが示された。観客はミニシアターを、落ち着きや自分のペースを取り戻すための「自己回復の場」として利用しており、静かな作品傾向や暗がりの空間が内省を促していた。また、観客同士が言葉を交わさずとも成立する“静かな共同性”は、現代社会における希薄なつながりを補完する役割を果たしている。さらに、スタッフの丁寧な関わりや地域との協働によって、ミニシアターは地域文化の維持・発展に寄与する“小さな公共空間”として機能していた。以上のことから、ミニシアターはデジタル化が進む現代社会において、人々の生活に文化的厚みと他者との穏やかな共存をもたらす重要な文化装置であると結論づけられる。 |
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| 講評 | 本稿は、地域のミニシアターの果たす役割について調べた研究である。調査では、ミニシアター運営者(店長、従業員)、観客に映画館に行く動機、映画館という場所の果たす役割、そこで発生するコミュニケーション、コミュニティ等について、複数のミニシアターのアクターに半構造化インタビューを行っている。調査では、映画館での観客によるコミュニティの発生は見受けられなかったが、ミニシアターが個人の心理的回復の場、観客同士の同時性を共にする静かな共同性、地域文化の拠点という多層的な空間の提供という役割を担っていることを明らかにしている。本研究は当初の仮説での地域の人々にとってのコミュニティの場という「動的な場の役割」に注目していたが、一定の社会的距離の中での同時性の効果による「静的な場の役割」の発見に変わっていった。本研究は、ありがちなサードプレイスの議論とは異なる発見をしており、考察での議論が評価できる。 |
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| キーワード1 | ミニシアター |
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| キーワード2 | 静かな共同性 |
| キーワード3 | 地域文化 |
| キーワード4 | |
| キーワード5 |