卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名池田 謙一 年度2024年度
タイトルメディア上の喫煙表現がタバコへの印象に与える影響―性別と第三者効果の関連―
内容 近年、タバコの健康に対する悪影響が懸念され、喫煙率が減少しているなかで、大学生の喫煙者が依然として一定数存在していることに興味を持った。タバコを吸っている人を直接見る機会は減っているため、メディアから得られるタバコへのイメージが、その印象に対して大きな影響力を持っているのではないかと考えた。そこで、メディア上の喫煙表現において、性別をはじめとしたメディアの受け手が持っている性質に注目し、メディアとタバコへの印象の関連について研究を進めた。具体的には、受け手が自身と他者に対して考える影響の差を分析した。分析の結果、男性の方が自身への影響をより大きく評価し、女性の方が他者への影響をより大きく評価したことが明らかになった。この結果からは、男性の方がタバコへの文化的な親和性が高いことで、メディアを通したタバコのイメージが蓄積されやすく、自分に対する影響を受けやすくなっていると推測できる。
講評 3回生ゼミで実施した、メディア上の喫煙表現が及ぼす第三者効果の実証研究を、先に進めた。前年見いだした問題点を検討し、性別を考慮した上で再度実証を試みている点に、この卒論の特徴がある。知見の蓄積という科学的実践の一歩である。出発点は過去の映像上でのアーティストの喫煙映像の魅力を観察することから進め、そこに性差がありうることを卒論の問題意識としている。結果は男性は自分に対するメディアの影響をストレートに自己認知するが、女性には第三者効果があり、他者に対する影響を過大認知している。このことを喫煙文化の性差と喫煙の望ましさ感覚の差異や喫煙経験の差異の点からさらに検討している。喫煙文化のアウトグループとしての女性という、結果のまとめ方は意義深い。
キーワード1 メディア
キーワード2 タバコ
キーワード3 第三者効果
キーワード4 ジェンダー
キーワード5 メディアリテラシー