卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名池田 謙一 年度2024年度
タイトル「地雷系ファッション」のパブリックイメージの考察 -なぜ地雷系は『間違えられる』のか-
内容 私は、雑誌『BRUTUS』において、ゲームキャラクターの『黛冬優子』が、実際にそのような設定はないにもかかわらず、「腹黒」や「オタサーの姫」といった間違ったイメージで掲載されたのを見て、この原因は彼女が身にまとっている所謂「地雷系ファッション」(以下地雷系)の印象にあるのではないかと考えた。まず、服装やメイクの特徴を定義し、それらの構成要素は健康的・精神的な「危うさ」を与えうると考えた。次に、印象の成立要件を掴むため、類似概念として「ロリータファッション」や「ゆめかわいい」を挙げ、その成り立ちを整理し『地雷系』の印象について考察した。特に、2000年代中盤のサブカルチャーとロリータファッションの関係性が、『地雷系』の「個性的」「オタクっぽい」というイメージを補強していると考えた。
 さらに、『地雷系』のサンプルを用いた不特定多数への印象調査や、『地雷系』関連のコンテンツの質的分析も行い、上記のようなイメージの仮説を検証したのち、まとめとして「なぜ『地雷系』が選ばれるのか」という精神性への考察と、パブリックイメージの拡散とSNSの影響についても論じた。
講評 地雷系ファッションの由来と一般市民の誤解に関して歴史的に検討した上で、ネットのアンケート調査と同ファッションに関わる楽曲のテキストマイニングから全体の構図を描き出そうとした。地雷系ファッションはその名の「地雷」の語の示すように、それをまとう女性に負の要素が隠されていることを含意するが、ロリータファッションとの由来関係、ゴスロリとの類似性等から形成されたものであることを示そうとした。アンケート調査を実施すると、その命名の含意通りのイメージを多くの人が保有していること、地雷系カルチャーの楽曲には精神的な不安定さを記す要素が存在することが示された。このファッションの形成の過程にはSNSの普及による情報環境的効果も示唆される。全体として、サブカル系の研究が記述に終わることが多いことを踏まえると、実証性が高い点に意義のある卒論であった。
キーワード1 ファッション
キーワード2 サブカルチャー
キーワード3 SNS
キーワード4 地雷系ファッション
キーワード5 アンケート