学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 勝野 宏史 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 正戦論から見る自律型AI兵器とその限界 ――人間の関与の必要性―― |
内容 | AI兵器は「第3の軍事革命」と位置付けられており、急速に進むAIの軍事利用によって、戦争被害の拡大が懸念されている。しかし、法的・倫理的な視点の多様さ、政治的・経済的思惑から、共通のルールを作ることは容易ではなく、法制度が技術の進歩のスピードに追いついていない。自律型兵器の規制をめぐる議論は、法学の観点からのものが多いが、自律性を持つという特質から、倫理的視点から規制のあり方を研究する必要性がある。そこで、本稿では自律型兵器の規制について、AI倫理と正戦論を融合し、「人間の関与」の必要性を訴える。第3章・第4章では、自律型兵器を自律性のレベルに応じて分類し、特に民間人の巻き添え被害を中心に分析する。第5章では、民間人の危害の可能性のみに焦点を当てることの限界について論じ、実際の戦場で起こっている事態から、検討すべき他の視点や事項を鑑み、「人間の関与」を軸にした規制のあり方を明らかにする。 |
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講評 | 本研究は、AI兵器の規制をめぐる議論を倫理学の視点から分析し、「人間の関与」の必要性を論じる点で重要な意義を持つ。AI兵器が戦争の形態を大きく変えうる「第3の軍事革命」として位置付けられる中で、技術の進展に対して法制度が追いついていないという問題意識は鋭い指摘であり、自律型兵器の規制をめぐる多様な論点を整理しようとする試みは評価できる。特に、自律型兵器を「自律性のレベル」に応じて分類し、それぞれの影響を分析する方法論は、従来の研究では十分に体系化されていない視点であり、新たな洞察をもたらす可能性がある。また、民間人への危害の問題に焦点を当てつつ、その視点だけでは規制の限界があることを指摘し、戦場の実態に基づいた包括的なアプローチを模索する姿勢は、現実の政策提言にもつながる意義を持つ。 |
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キーワード1 | 自律型兵器 |
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キーワード2 | 正戦論 |
キーワード3 | AI倫理 |
キーワード4 | 人間の関与 |
キーワード5 | 民間人の保護 |