卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名勝野 宏史 年度2024年度
タイトル「おもてなし」の生成と変容-日本人論と航空業界に見る文化的アイデンティティの構築-
内容 この論文は、日本独特の文化とされる「おもてなし」の概念が、歴史的にどのように形成され、普及してきたかを考察している。滝川クリステル氏が2020年東京オリンピック誘致のスピーチで紹介したことでも有名な「おもてなし」という概念は、日本の伝統文化として語られるが、実際には国際競争やグローバル化の影響を受けた「創られた伝統」である可能性が示唆される。本研究では、日本人論における肯定的・否定的な見解を紹介しつつ、新聞記事、Googleトレンド、航空業界の事例を分析して「おもてなし」の実態と歴史的背景を解明する。特に、1998年の長野五輪や2005年の愛知万博を取り上げ、これらのイベントを契機とした「おもてなし」の普及過程を追跡する。また本論は、「おもてなし」の文化的・社会的意義を再評価することを目的としている。
講評 本研究は、「おもてなし」という日本文化の概念が、単なる伝統ではなく、歴史的・社会的文脈の中で形成されてきたものであることを明らかにしようとする点で意義深い。特に、日本人論の枠組みを参照しつつ、新聞記事やGoogleトレンド、航空業界の事例を用いた多角的なアプローチは、「おもてなし」がどのように形成され、普及し、国際的な文脈で語られるようになったのかを実証的に探る試みとして評価できる。また、長野五輪や愛知万博といった国際イベントが「おもてなし」の概念を普及させる契機となったという視点は、日本文化のグローバル化や観光産業との関係を考察する上で興味深い。一方で、「おもてなし」がどのように受容されているのかについて、国内外の視点を比較することで、日本国内での自己認識と、外部からの評価とのズレをより詳細に分析できる可能性がある。特に、航空業界の事例は興味深いが、それが「おもてなし」の普及や変容にどのような役割を果たしたのか、より具体的な考察が加わるとさらに深みのある研究へと発展させることができるだろう。
キーワード1 おもてなし
キーワード2 日本人論
キーワード3 長野五輪
キーワード4 航空会社
キーワード5 セルフオリエンタリズム