卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名勝野 宏史 年度2024年度
タイトルキャラクターの役割の変化 -「移行対象」から「命を吹き込まれた存在」へ-
内容 本研究では、各時代の人気キャラクターが若者にとってどういう存在であったのかを分析し、社会背景と共にキャラクターに求められる要素の考察を行った。幅広い年代がキャラクターを好む文化が根付く日本では、これまであらゆる特徴を持つキャラクターが登場してきた。中でも、1990年代後半から大人を中心にブームを起こした「ハローキティ」と2020年に全世代でブームを起こした「ちいかわ」は「表情」・「物語」の有無という点が対照的であり、非常に特徴的である。インタビュー調査を行い、分析を行った結果、ハローキティは大きな物語の喪失による“孤独感”を埋める「移行対象」、ちいかわは常時接続時代における“空気を読む”ストレスを和らげる「命が吹き込まれた存在」として、各時代の若者に精神的安堵をもたらす機能を果たしているということが明らかになった。そして、キャラクターはその時代の若者の人間関係における不安感やストレスを映し出す「表層装置」として捉えられるという結論に至った。
講評  本研究は、各時代の人気キャラクターが若者にとってどのような存在であったのかを社会背景と関連づけて考察する点で、興味深いアプローチを取っている。特に、「ハローキティ」と「ちいかわ」という対照的なキャラクターを比較し、時代ごとの若者の心理的ニーズと関連づけた点は新鮮である。キャラクターが「移行対象」や「命が吹き込まれた存在」として機能し、精神的安堵をもたらしているという結論は、現代のキャラクター文化を社会学的に捉えるうえで示唆に富んでいる。欲を言えば、キャラクター消費に関する先行研究との関係性を明示しながら、「表情」や「物語」の有無がどのように受容に影響を与えるのかを深掘りすると、より説得力のある議論になっただろう。また、インタビュー調査の対象や方法論についても詳しく記述すると、結論の妥当性を強化できた可能性がある。全体として、本研究はキャラクター文化と社会背景の関係を明らかにし、キャラクターが若者の心理に与える影響を分析する点で意義のあるものである。
キーワード1 キャラクター研究
キーワード2 移行対象
キーワード3 アニメーション
キーワード4 空気
キーワード5 大きな物語