学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 勝野 宏史 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | ファストミュージック ―社会的加速と「ファスト化」するコンテンツ― |
内容 | 本研究は、音楽における「ファスト化」を分析し、その影響と要因を明らかにすることを目的としている。近年の流行歌に見られるイントロの省略や楽曲の短縮化を契機に、音楽の領域にも「ファスト化」の波が到来したのではないかという疑問を提起し、その正当性を検証する。第2章では「社会的加速」の概念を取り上げ、「ファスト化」との関連性を明らかにし、生活テンポの加速が影響していることを示す。第3章では、年代別・アーティスト別の楽曲人気指標を用いて、楽曲の長さやイントロ、BPMの比較を通じて「ファスト化」の影響を考察する。第4章では、リスナー側とアーティスト側の視点に分けて、音楽の「ファスト化」の要因を探る。具体的には、リスナー側ではスキップ行為、アーティスト側ではその経歴や音楽のルーツから共通点を見出し、その要因を分析する。最終章では、これまでの議論をまとめ、音楽における「ファスト化」の今後の展望について議論する。 |
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講評 | テーマが決まるまで時間がかかったものの、最終的には非常に興味深い研究に仕上がった。メディア研究において「時間」に焦点を当てた議論は少なく、本研究は「ファスト化」という視点から音楽を分析する意欲的な試みである。第2章では「社会的加速」という理論的枠組みを用い、音楽の変化を社会的文脈で位置づけており評価できる。第3章のデータ分析も楽曲の長さやBPMを比較し、説得力のある議論を展開している。ただし、より厳密な比較基準を設けることで、さらに精度の高い議論が可能だったかもしれない。リスナー側とアーティスト側の視点を比較する第4章も興味深いが、両者の関連性をより掘り下げると、結論が明確になったと思われる。全体として、独自の視点と社会的加速の概念を応用した意欲的な研究であり、さらなるデータ分析の精緻化により、より完成度の高い研究へと発展できるだろう。 |
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キーワード1 | 社会的加速 |
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キーワード2 | ファスト化 |
キーワード3 | 音楽 |
キーワード4 | スキップ |
キーワード5 | ボカロ |