内容 |
本論文は若年労働者の残業に関する意識とその背後にある要因を探り、残業が労働者自身の意志によるものなのか、企業側の意図や上司の影響を受けているのかを問う。そして部下に対する上司の働きかけが、モチベーションの向上に影響を与え、そのモチベーションが残業に繋がるケースがあることが分かった。またそのような労働者を見た、他の労働者が同調圧力を感じてしまい、また残業をするといったことから、残業意識が労働者から労働者へ伝染しているということになる。残業意識が伝染することで、企業全体で残業の文化が形成されていることから、適切な労働時間管理が重要である。しかし、過度な残業が健康やメンタルに悪影響を与える一方で、残業はワークモチベーションの消化のために必要であるという考えもある。実際に、一定の残業がモチベーションの向上や成長の機会を提供する場合もある。残業意識の伝染を防ぐため、企業は残業削減を目指しつつ、必要に応じて残業をするなどの、個々の労働者に合わせた柔軟な働き方を提供する必要があるだろう。また上司が部下の残業に影響を与えていることから、上司も部下もお互いの関わり方について吟味していくことが、これから求められる課題ではないだろか。 |