卒業論文詳細

学科産業関係学科 ゼミ教員名松山 一紀 年度2024年度
タイトル非営利団体における変革型リーダーシップとサーバント型リーダーシップが及ぼす影響
内容  本研究は、非営利団体における変革型リーダーシップとサーバント型リーダーシップがフォロワーに与える影響を検証した。非営利団体は金銭的報酬がない環境であり、内発的モチベーションが組織運営の鍵を握る。本調査では、約300人規模の大学生NPO法人を対象にアンケートを実施し、リーダーシップスタイルが内発的モチベーションや心理的安全性、協力行動に及ぼす効果を分析した。
 調査の結果、変革型リーダーシップは目標達成や挑戦意欲の喚起を通じて内発的モチベーションを高める効果が確認された。一方で、協力行動には若干の負の影響が見られた。また、サーバント型リーダーシップも心理的安全性や信頼関係の構築を通じて内発的モチベーションを向上させる効果を持つが、目標達成への具体的な働きかけが不足する場合があることが課題として示された。
 さらに、両スタイルを組み合わせて発揮することで内発的モチベーションが最大化されることが明らかになった。変革型リーダーシップが方向性を示し、サーバント型リーダーシップが心理的安全性を提供することで、それぞれの特性が相互に補完し合い、フォロワーの内発的モチベーションを効果的に引き出していると考えられる。
講評 本研究は、リーダーシップスタイルを変革型とサーバント型の2タイプに分けたうえで、それぞれがフォロワーシップ行動にどのような影響を有しているのかを明らかにしようとしている。発見事実として特に興味深いのは、リーダーの変革型スタイルが強いほど、組織の心理的安全性が低下し、フォロワーの協力行動が抑制されるということである。また、変革型およびサーバント型スタイルをうまく使いこなしているリーダーのもとで、フォロワーの内発的動機付けが高くなるという結果も興味深い。大学生を対象として130の有効回答を得ている点は評価できるものの、もう少し高度な分析が施されていればなおよかった。
キーワード1 非営利団体
キーワード2 変革型リーダーシップ
キーワード3 サーバント型リーダーシップ
キーワード4 内発的モチベーション
キーワード5