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近年、日本の雇用にジョブ型を「導入する」という表現がしばしば用いられるが、果たして日本人労働者にとってジョブ型雇用は適しているのだろうか。先行研究では、ジョブ型雇用と評価、人事制度などが研究されているが、本稿では労働者のフォロワーシップの観点からジョブ型雇用との親和性を考察していく。
本稿では、ジョブ型雇用が主流であり日本人と国民の性格が似ているとしてドイツを比較対象とし、労働意識に関するアンケート調査を日独のアルバイト学生を対象に行った。各国の労働者のフォロワーシップがワークエンゲージメントにどのような影響を与えるのかを調査した結果、社員に対して従順な態度をとる場合において、日では影響力がなく、独では負の影響がある結果が得られた。
上記のことから「ドイツ的ジョブ型雇用システム」を導入することで、日本でも同じ結果が得られると仮定した。さらに、従順さは過重労働に影響する可能性を孕んでいると考え、ワークエンゲージメントが低下するデメリットはあるが、ドイツ的ジョブ型雇用システムの導入は過重労働などのリスクを軽減させる影響をもつと考える。すなわち、ドイツ的ジョブ型雇用システムは日本人労働者に適しているという結論に至った。
しかし、本研究で着目した点が「労働意識」であることから、今後の課題として、先行研究にあるような各制度なども考慮すべきであると考える。 |