卒業論文詳細

学科産業関係学科 ゼミ教員名松山 一紀 年度2024年度
タイトル日本人の労働意識とジョブ型雇用の親和性 ~日独のアルバイト学生への意識調査の比較を踏まえて~
内容  近年、日本の雇用にジョブ型を「導入する」という表現がしばしば用いられるが、果たして日本人労働者にとってジョブ型雇用は適しているのだろうか。先行研究では、ジョブ型雇用と評価、人事制度などが研究されているが、本稿では労働者のフォロワーシップの観点からジョブ型雇用との親和性を考察していく。
 本稿では、ジョブ型雇用が主流であり日本人と国民の性格が似ているとしてドイツを比較対象とし、労働意識に関するアンケート調査を日独のアルバイト学生を対象に行った。各国の労働者のフォロワーシップがワークエンゲージメントにどのような影響を与えるのかを調査した結果、社員に対して従順な態度をとる場合において、日では影響力がなく、独では負の影響がある結果が得られた。
 上記のことから「ドイツ的ジョブ型雇用システム」を導入することで、日本でも同じ結果が得られると仮定した。さらに、従順さは過重労働に影響する可能性を孕んでいると考え、ワークエンゲージメントが低下するデメリットはあるが、ドイツ的ジョブ型雇用システムの導入は過重労働などのリスクを軽減させる影響をもつと考える。すなわち、ドイツ的ジョブ型雇用システムは日本人労働者に適しているという結論に至った。
 しかし、本研究で着目した点が「労働意識」であることから、今後の課題として、先行研究にあるような各制度なども考慮すべきであると考える。
講評 自らの経験や、先行研究から、日本人とドイツ人の国民性が類似していることに着目し、それが、雇用システムや就労意識にどのような影響を及ぼしているのか、量的調査を通じて分析、考察した労作である。日本人学生を対象として130余りのデータを収集しただけでも素晴らしいが、質問紙を全て英訳し、ドイツ人学生を対象として30のデータを収集した努力は評価に値する。また、分析の結果、ドイツ人学生においては、従順な労働意識がワークエンゲージメントに対して負の影響を及ぼすことが明らかになった点も興味深い。ただ、雇用システムとの関係が十分に議論されなかったのが残念であった。
キーワード1 日独
キーワード2 ジョブ型雇用
キーワード3 メンバーシップ型
キーワード4 雇用システム
キーワード5 労働意識