学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 寺井 基博 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 循環器内科医の過酷な労働環境 |
内容 | 本稿では、循環器内科医の長時間労働が続いているという問題に焦点を当て、循環器内科医の過酷な労働の実態について論じている。実際に循環器内科医としておよそ25年間働いている方にヒアリング調査を行い、現場で働く方のリアルな声を取り入れて論文制作を行った。本稿の流れとしては、第2章で循環器内科医の過酷な労働についてのヒアリング調査と一般労働者、欧州との比較を行い論じてきた。第3章ではその過酷な労働環境が循環器内科医の人手不足に原因があると考え、ヒアリング調査でのリアルな人で不足と若手医師の仕組みにも触れながら記述した。さらに、第4章では査定制度と賃金制度についてのヒアリング調査を行い、そこでは忙しさに関わらない一律の基本給の存在があることを論じてきた。そして、第5章では病院内に存在する忙しさに関わらない一律の基本給が、若手医師が忙しい診療科で働こうとすることが減少した原因であると考えた。第6章では、循環器内科医の人手不足の問題は、自分の命や大切な人の命に関わる問題であるので、国民全員で考えていくことの重要性を確認した。 |
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講評 | 本論文は、循環器内科医の就業について、勤務医の労働の仕組みに着目してその就業環境の過酷さを明らかにした論考である。循環器内科では、症状が急変することなど緊急性と伴う症例が多く、夜間や休日のオンコールのあることから他の診療科に比べて長時間労働になりやすい条件があることが明らかにされており、さらに、2004年から開始された「新医師臨床研修制度」によって1~3か月ごとに各診療科をローテ―トする制度が導入されたことによって、循環器内科の厳しい勤務環境を回避して他の診療科を希望する医師が増えたため、循環器内科は常に人で不足の状態になっていることを明らかにした。他国との比較という点では、日本は患者数が多いことが特徴とされるが、この点については国民皆保険による医療制度(いつでもだれでも医療を受けることができる仕組み)に伴う課題であることから、こうした医療制度についての課題についての考察も必要になるだろう。 |
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キーワード1 | 循環器内科 |
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キーワード2 | 長時間労働 |
キーワード3 | 人手不足 |
キーワード4 | 賃金制度 |
キーワード5 |