卒業論文詳細

学科社会福祉学科 ゼミ教員名鈴木 良 年度2024年度
タイトル重症心身障害児に対する普通学校における教育のあり方 ―兄の生活史調査を通してー
内容  近年、障害の有無に関わりなく同じ教室で学ぶことによって共生社会を目指す、 インクル ーシブ教育が重視されている。しかし、教員不足や合理的配慮の面での環境整備など様々な 課題がある。感情の表出やコミュニケーションをとることが難しく、 教室間の移動、 さらには学習にも課題を抱える重症心身障害児にとって、より豊かな学校生活を送るために、普通小学校ではどのような教育が行われるべきなのか。
 本研究では、普通学校における、 重症心身障害児に対する教育のあり方を明らかにしたい。研究方法としては、 重症心身障害児であった兄を育てた母と、 兄の当時の支援級担任へのイ ンタビューを行った。
 その結果、1)生徒の障害の度合いに合わせた、感覚や感情を揺さぶ り、できることを増やす教育実践と共に、2) 周囲の子どもたちに、 障害を持つ子どもの良 さやできること、 また、 困難なことが伝わるような環境作りが大切であることが明らかになった。
講評  本研究では、重症心身障害児であった筆者の兄を育てた母と、支援級の担任へのインタビューを行って執筆された論文です。この研究を通して、1)生徒の障害の度合いに合わせた、感覚や感情を揺さぶり、できることを増やす教育に加え、2)周囲の子どもたちに、障害を持つ子どもの良さやできること、また、困難なことが伝わるような環境作りが大切であることを結論づけています。
 近年では、障害の有無に関わりなく同じ教室で学ぶことで共生社会を目指す、インクルーシブ教育が重視されるようになっています。しかし、教員不足や環境整備など様々な課題があるのが現状です。感情の表出やコミュニケーションをとることが難しく、教室間の移動、さらには、学習にも課題を抱える重症心身障害児にとって、より豊かな人生を過ごすために、普通小学校で行える教育とはどのようなものなのか、ということが探求されました。
 ご自身の家族のことをよりよく理解するために、この論文は執筆されています。筆者のお兄様は重症心身障害をもちながら、普通学校の普通学級で教育を受けるという、日本では非常に貴重な教育実践を経験されています。こうした、先駆的取り組みの一端を丁寧に描いた本研究は、インクルーシブ教育のあり方を考える上で、貴重な資料を提供しうると思います。
キーワード1 重症心身障害児
キーワード2 インクルーシブ教育
キーワード3 環境づくり
キーワード4
キーワード5