学科 | 教育文化学科 | ゼミ教員名 | 奥井 遼 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 児童養護施設における子どもと外部ボランティアの関わり |
内容 | 本稿では、児童養護施設における長期のフィールドワークをもとに、そこで暮らす子どもたちの特徴と外部ボランティアの関わり方について詳細に記述し考察する。施設で暮らす子どもたちは、虐待や経済的困窮といった背景を抱え、その影響で愛着形成の困難さや自己肯定感の低さ、信頼関係の構築の難しさといった心理的・社会的課題を有している。また、施設職員の交代制が子どもたちの心の安定を妨げる要因ともなっている。一方、外部ボランティアは施設の日常に新しい人間関係や刺激をもたらすことで、子どもたちの社会適応力向上に寄与する可能性がある。しかし活動の継続が難しいことや、子どもたちの特性を理解しないまま関わることによる逆効果のリスクも指摘される。本稿では、これらの課題を解決するために、外部ボランティアが子どもたちの背景理解を深めること、活動の継続性を確保すること、中高生への支援を強化することの重要性を示し、施設職員とボランティアの連携の必要性について論じる。 |
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講評 | さまざまな事情で親と暮らすことが難しい子どもの養育を行う児童養護施設は、虐待や経済格差などの問題が深刻化する今日、ますます重要な役割を担いつつある。筆者は施設に暮らす子どもたちと月に1〜2回のペースで交流するボランティア活動を1年以上継続し、外部ボランティアと子どもたちとの関わりを中心に、その可能性と課題を考察した。子どもとの距離感が近すぎたり遠すぎたりするという難しさを抱えながら、筆者は、様々な職業や年代のボランティアと定期的に関わる中で、社会に開かれていく子どもたちの姿を描き出す。他方、定期的とはいえ頻度の少ない交流を続け、細いつながりだけを頼りに関係を築くことの構造的な難しさも同時に論じられる。外部ボランティアの意義を示し、社会で子どもを育てるということの、理念だけではない実践面での示唆に富んだ論考である。 |
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キーワード1 | 児童養護施設 |
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キーワード2 | 子ども |
キーワード3 | ボランティア |
キーワード4 | 支援 |
キーワード5 | 第三の居場所 |