卒業論文詳細

学科教育文化学科 ゼミ教員名奥井 遼 年度2024年度
タイトル会話における演技的行為の研究ートランプゲームの分析を通してー
内容 本稿では社会行為のひとつとして「演技的行為」が存在し、この「演技的行為」は人間関係を構築するうえで欠かせないものだということを、会話分析や行動分析により明らかにする。トランプゲームのババ抜きにおいて、ジョーカーを持っているうちは演技するさまが浮かび上がってくると考え、ババ抜きをするという場面設定のもとに会話分析や行動分析のデータを収集した。また、ババ抜きのプレイヤー自身にも撮影記録を振り返ってもらうことで、演技的行為は自己分析によっても浮かび上がっている。インタラクションのなかに潜む演技的行為であるが、この行為が表出されるまでの思考回路も明らかになった。そして演技的行為は、他者と接するにあたってより良い人間関係を構築しようと模索したために表出されるものであることも明らかになった。
講評 会話分析研究においてトランプカードゲームはしばしば素材になるが、筆者は対面的相互行為場面における演技的行為に着目し、その役割を考察することを試みた。限定された事例ゆえ、ゲーム中に見られる演技的行為に関しては十分な考察を展開するに至らなかったものの、トランプ前後の会話、および後日のインタビューへと事例の幅を広げることにより、日常的な会話場面における演技的行為の役割を考察することができた。対象となるサンプル数が十分でないという問題はあるが、演技的行為について日常的なコミュニケーションの複雑な構造を照らし出すことには成功している。
キーワード1 演技
キーワード2 会話分析
キーワード3 行為記述
キーワード4 トランプゲーム
キーワード5