学科 | 教育文化学科 | ゼミ教員名 | 奥井 遼 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 楳図かずおの恐怖観−作品内における恐怖の表現と形成過程− |
内容 | 本研究では、楳図かずおの「怪」「恐怖」の2作品における作品研究をもとに、楳図かずおの恐怖観とその形成過程を明らかにすることを目指す。具体的には、「楳図かずおの恐怖の表現」および「恐怖観の形成」という2つの観点をもとに考察を進める。楳図かずおの恐怖漫画には単に怪奇現象(異形の姿をした存在や現象など)が人間を恐怖に陥れるといった「怪異→人間」という一方通行の関係ではなく、それぞれの作品において複雑な怪異と人間との関係性が見られる。その関連性を作品の細かな分析から読み解くことで、楳図かずおの恐怖観が明らかになる。また、恐怖観の表出過程において時代や幼少期の学び・環境などのマクロな視点から楳図かずおを見る。楳図かずおの恐怖漫画が大衆を怖がらせるという単調な目的で描かれた作品ではなく、より広い視点から時代や人間を捉えた作品であることを再認識できるだろう。 |
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講評 | 楳図かずおといえば戦後ホラー漫画を代表する作者の一人として知られる。筆者は幼いころから楳図を愛好しており、その恐怖観を卒業研究の対象に据えた(奇しくも本稿執筆中にその訃報に接したのには驚かされた)。本稿の解釈によれば、楳図の恐怖表現には二つの種類があり、一つには人為の及ばない闇の領域に人が触れることによって生じる「怪」、今一つには人間の心の暗部によって生み出される現象としての「恐怖」である。そのほか、楳図の生育歴に触れながらそれら恐怖感の形成に関する考察がなされる。先行研究への位置付けおよび貢献が十分に明示されていないという問題はあるものの、筆者の解釈が説得的に展開される。 |
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キーワード1 | 楳図かずお |
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キーワード2 | 恐怖漫画 |
キーワード3 | 怪 |
キーワード4 | 恐怖 |
キーワード5 | へび |