卒業論文詳細

学科教育文化学科 ゼミ教員名奥井 遼 年度2024年度
タイトルたばこの歴史と文化 ―現代におけるたばこ文化の再認識のために-
内容 本稿では、たばこの歴史と喫煙者へのインタビューを組み合わせることによって、タバコの持つ嗜好品としての文化的価値を再認識することを目的とする。歴史調査ではたばこはアメリカ大陸の原住民が発祥とされ、時を越えてヨーロッパ、世界へと広がっていった。現代に至るまでたばこの使用用途は祈祷や治療など現代でのそれとは異なっていたが、長い歴史の中で人々を支えてきたことが明らかとなった。インタビューでは喫煙者がたばこに対して「理想への接近」「リラックス」「コミュニケーション」の三つの効果を実感していることが判明した。以上の調査から、たばこには健康被害をかき消すほどのメリットが存在しており、健康被害や世間の風潮に抗ってでも吸いたくなる価値が存在した。長い間人々を煙によって支えてきたもの、それがたばこだったのである。
講評 タバコの健康被害が取り沙汰され、社会の中での喫煙の意味づけがここ数十年で大きく変わる中、現在でも喫煙を愛好する人は依然として少なくない。筆者は喫煙スポットにおける定点観察やインタビューを試みながら、喫煙者におけるたばこの意味づけを明らかにすることを目指した。歴史研究と実証的インタビュー調査を組み合わせることで、喫煙者側の意味づけを一定程度描き出すことには成功している。たばこ愛好者が現代において非喫煙者と共存できる可能性を探るという点では平行線をたどるきらいもあるが、今後の共存がありうるのかどうかを問う重要な論考である。
キーワード1 たばこ
キーワード2 健康
キーワード3 文化
キーワード4 嗜好品
キーワード5