内容 |
本研究は、特別支援教育における「自立活動」に着目し、子どもたちの援助要請スキルを育む普通教育のありかたを明らかにすることを目的としている。筆者は個別指導塾や放課後等デイサービス、中学校の有償ボランティアなど、様々な活動の場で多様な子どもたちと関わってきた。その中で、子どもが周囲の大人や友人に助けを求められるようになるためには、特別支援教育における「自立活動」に類するはたらきかけが有用な手立てとなりうるという着想を得た。そこで本研究では、子どもたちが援助要請をする際の心の動きや、援助要請の阻害要因について考察した。また、その阻害要因の影響を緩和できるような、「自立活動」を活かした普通教育のありかたを検討した。その結果、援助要請に関する先行研究では明記されていなかった、援助要請をする際の援助要請者の段階的な心の動きと、援助要請の阻害要因との関連を見出すことができた。そして、活動の中で得た事例や各活動の場で出会った人々の語りから、援助要請の阻害要因の影響を緩和し、援助要請の姿勢を育むような環境のづくり・はたらきかけの方法を明らかにした。本研究で検討した、「自立活動」を活かした普通教育のありかたは、インクルーシブ教育の実現の一助となるだろう。 |