学科 | 教育文化学科 | ゼミ教員名 | 奥井 遼 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 不登校をめぐる子ども支援における現象学的なまなざし-別室登校児と関わるボランティア活動の事例から- |
内容 | 本稿では、京都市の公立小学校で別室登校している児童と関わるボランティア活動をもとに、児童と筆者の関わりや、保護者や教師とのやり取りなどを記述しながら、別室登校児にとっての不登校の経験構造を明らかにすることを目指す。具体的には、彼らの口からこぼれ落ちた言葉や、別室で過ごす中での断片的な出来事をエピソード記述的に記録しながら、「不登校の子どもにとっての学校」の輪郭を捉えることを試みる。不登校支援においては、現在専門家の支援員の配置やチーム学校としての支援体制の強化など、様々な対応が進められているが、こうした支援者側の視点のみに頼るのではなく、実際に不登校の児童らと関わりながら、彼らの視点から見えている学校や教師の存在を捉えなおすことで、個々の事例として不可視化されてしまっている現場の実情が明らかになるはずである。本稿の考察によって子ども理解が進み、今後具体的な支援の模索につながることが期待される。 |
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講評 | 不登校児童生徒数が統計上過去最大を更新し続けているが、一口に不登校と言っても子どもたち個々の経験は一様ではない。筆者は不登校支援のための大学生ボランティアの活動を2年半以上継続し、本人と学校をつなぐ細くも強い糸として子どもを支えてきた。本稿は、子どもの日々の様子や相互行為に焦点を当て、些細だが決定的な会話やエピソードを記述することで、別室登校をめぐる経験の構造を明らかにしようと試みるものである。その際、子どもの経験構造を提示するために現象学的な考察にも挑む。加えて教員に対するインタビューも実施し、別室で過ごす子どもを見守るための姿勢を明らかにするとともに、学校側がチームで見守るという体制の変容プロセスにも光を当てる。理論的な掘り下げには課題が残るものの、丹念なフィールドワークと細やかな記述によって編み上がる労作である。 |
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キーワード1 | 不登校 |
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キーワード2 | 別室登校 |
キーワード3 | 学校教育 |
キーワード4 | 現象学的アプローチ |
キーワード5 | 質的研究 |