学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 樋口 摩彌 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 韓国ドラマにおける「地方」の描かれ方と社会的背景ー『涙の女王』を例にー |
内容 | 近年、韓国ドラマはNetflixなどのOTTサービスによる配信も行われており、世界的な人気を集めている。作品の中には地方をテーマにしたものの多数存在するが、必ずしも地方をプラスイメージで描いているわけではない。本論文では、2024年に大ヒットした『涙の女王』を研究対象とし、「韓国ドラマにおける地方の描かれ方」を分析した。『涙の女王』の作中より、「ソウル(都会)の人々から見た地方」の描写と、「地方出身者から見た地方」の描写の二つの視点に分けて場面を抽出したところ、その描かれ方は全く異なっていた。ソウルの人々の視点では、地方は「異質で、遅れた存在」として描かれていたのに対し、地方出身者の視点では「癒しの場」として描かれていた。そのように描かれる理由として、前者は人口や教育などにおける「地域格差」が関係し、後者は「都会における激しい競争疲れ」が挙げられると考察した。 |
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講評 | 本論文は、韓国ドラマ『涙の女王』を対象に、地方の描かれ方について都会と地方出身者それぞれの視点から分析したものである。本論では、ドラマ中の「ソウルの人々から見た地方=異質で遅れた存在」、「地方出身者から見た地方=癒しの場」という対照的な描写が明確に示されており、それぞれの背景には地域格差や競争疲れといった社会問題があると考察されている。また、物語分析から社会問題の掘り下げ、地域活性化への影響まで広範な視点で考察されている点は高く評価できる。また、具体的な事例(聞慶市との業務協約など)も挙げており、単なる物語分析に留まらず、実社会への波及効果を考察している点も意義深い。 また、韓国語で記された一次資料を論拠とされた点も、本論の独自性として高く評価できる。 全体としては社会問題と映像メディアの関連性を的確に捉えた論文である一方で、分析の客観性と一般化可能性を強化することでさらなる発展が期待できる。 |
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キーワード1 | 韓国ドラマ |
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キーワード2 | 涙の女王 |
キーワード3 | 地域格差 |
キーワード4 | 都会疲れ |
キーワード5 | 地方 |