卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名樋口 摩彌 年度2024年度
タイトル現代における実話怪談ブームの考察からみる 怪談という娯楽の制限と今後のありかた
内容 本論文では、現代社会における実話怪談ブーム発生の理由と、実話怪談というジャンルの人気の理由について分析した。そして、2000年以降の怪談ブームにはインターネットが関係していると考察した。インターネット発生初期に流行した2ちゃんねるや、Youtube、SNSを活用したことで、怪談が多様化し人気の理由に繋がった。また、実話怪談というジャンルは匿名性と理不尽さの2つの要素により、人気が高まっていると考察した。そして今後の展望として、実話怪談のあり方について分析した。その結果、実話怪談という娯楽としての楽しみ方そのものが危ぶまれてしまうのではないかと考察した。近年、テレビにおけるコンプライアンス規制やYoutubeのガイドライン規定が目立っており、実話怪談が話しづらくなっている。こういった流れから、実話怪談は等しく楽しまれるべき娯楽であるにも関わらず、段々統制されてしまうのではないかと考察した。 
講評 本論文は、現代日本における実話怪談ブームの背景や人気要因を分析し、インターネットの普及が怪談文化の変容に大きく寄与している点を明らかにしたものである。特に、2ちゃんねるやYouTubeなどインターネット媒体がもたらす匿名性、怪談の多様化に注目した考察は興味深く、現代文化に即した分析として意義がある。具体的には、日本において、古くからある「怪談」が、情報空間の変化によって、発信者と受信者の在り方が変わったのは斬新な指摘であり、意義ある研究といえる。さらに実話怪談の人気要因として「匿名性」と「理不尽さ」という要素を抽出した点も説得力があり、怪談ジャンルの心理的な側面を丁寧に論じていることは評価できる。
なお、「コンプライアンス規制による怪談文化の統制」という展望は興味深いテーマである一方、現実の規制事例についてもう少し具体的な検証があれば、さらに実証性が増すだろう。
総じて、先行研究が少ない中、資料を吟味し、研究手法を工夫した実証的な研究と評価できる。
キーワード1 怪談
キーワード2 実話怪談
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