学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 樋口 摩彌 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | M-1グランプリ決勝ネタのジェンダー表象からみる、 2001年~2010年、2015年~2023年の社会的背景 |
内容 | 近年、日本のメディアにおけるジェンダー表象が物議を醸すことがあり、多くのジェンダー表象がされてきた。しかし、漫才におけるジェンダー表象についてはまだ研究されていない。そこで本研究では、2001年~2010年、2015年~2023年に開催されている漫才師の頂点を決める大会「M-1グランプリ」で披露されたネタを分析対象とし、そのネタの中で描かれているジェンダー表象を取り上げ、それらの表象がされた当時の時代背景について考察した。 その結果、M-1グランプリが2001年~2010年、2015年~2023年の計19回放送されている中で、2~3年に1度は性別役割分業の考え方が描かれたネタが披露されていることが明らかになった。また、「性別による職業差」は時代とともに描かれることが減少していた。そして、2020年のウエストランドのネタの、「今の時代、誰も傷つけないお笑いをしないといけない」というセリフから、芸人自身も多方面に気を配ったネタを考えなければならない風潮の中にあると考察した。 |
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講評 | 本論文は、日本の漫才におけるジェンダー表象に注目し、特に「M-1グランプリ」におけるネタ分析を通じて時代背景との関連性を考察した研究である。本論の価値は、非常に丹念なセリフ分析である。19年分のM-1グランプリのセリフを研究素材とし、その文言を分析して、ジェンダー表象を具体的なカテゴリ(性別役割分業、職業、容姿、セクシャルマイノリティなど)に分類し、そこからどのようなジェンダー表象が読み取れるかを考察された。この分析および考察は、本論の実証性として高く評価できる。 さらに、「今の時代、誰も傷つけないお笑いをしないといけない」というセリフなど、2020年以降の芸人の意識変化や、漫才のネタに対する社会的評価に言及するなど、近年の社会的な潮流を踏まえた分析がされている点も意義深い。 総じて、M-Iグランプリから現代社会のジェンダーの様相を論じた実証的また堅実な論文と評価できる。 |
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キーワード1 | M-1グランプリ |
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キーワード2 | ジェンダー表象 |
キーワード3 | 性別役割分業 |
キーワード4 | セクシャルマイノリティー |
キーワード5 | 容姿いじり |