学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 樋口 摩彌 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 日本のメディア利用環境の変化に起因するフィギュアスケート人気低迷と現状分析ー新型コロナウイルス流行を経てー |
内容 | 本稿は、昨今のフィギュアスケートの人気低迷が、人々のメディア利用環境に起因することを示すものだ。コロナ流行以前・以後とで区分分けを行い、それぞれの期間の「フィギュアスケートの状況」・「人々のメディア利用環境」を提示したのち、その2つにどのような相関があるか検討した。結果は、フィギュアスケート人気は2014年ごろがピークでそこからは右肩下がりであった。また、メディア利用環境はコロナ流行が転換点となっており、人々の主要メディアが「テレビ」から「SNS・インターネット」へと変化した。フィギュアスケートは芸術点がつくスポーツであり、映像、特にテレビ」に依存している。人々の「テレビ離れ」は「フィギュアスケート離れ」をも引き起こしたと考えられる。また、フィギュアスケートには昨今のショート動画ブームに対応しにくい競技性があり、これもまた人気低迷の要因の1つであると考察した。また最後には、プロレスの例を参考に、人気回復に向けたメディア活用法をも提案した。 |
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講評 | 本論は、フィギュアスケート人気低迷の背景を、日本のメディア利用環境の変化という視点から探るという、これまでにない切り口で分析を試みた論文である。特に、テレビからSNSやインターネットへの人々のメディア利用の移行が、フィギュアスケート人気にどのように影響を与えたかを示した点は興味深いと言える。 本論文の重要な成果として、フィギュアスケートが映像、特にテレビ媒体に大きく依存しているため、視聴者の"テレビ離れ"が競技の人気低迷を引き起こしているとの指摘がある。また、ショート動画ブームへの対応が難しい競技性が、この人気低迷に拍車をかけているという考察も説得力があるといえる。 一方で、以下の点で改善が期待される。まず、フィギュアスケート人気低迷の原因として、メディア環境の変化以外の要因も考慮する余地があったかもしれない。例えば、競技自体のルール変更や国内外のスター選手の存在感など、他の要素との関連性についても触れると、より包括的な議論が展開できたといえる。 全体として、本稿は現代のメディア環境とスポーツ人気の相互作用を理解する上で貴重な視点を示している。新型コロナウイルス流行という大きな社会的変化を背景に据えた点もタイムリーであり、スポーツ文化やメディア研究における新たな論点になるといえる。 |
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キーワード1 | フィギュアスケート |
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キーワード2 | コロナ |
キーワード3 | テレビ離れ |
キーワード4 | SNS利用 |
キーワード5 | スポーツのメディア活用法 |