学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 樋口 摩彌 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 地方新聞の地震報道の検証と今後の課題 「神戸新聞」を例にして |
内容 | 近年、新聞離れが加速しており特にその影響を強く受けているのが各地の地方新聞である。能登半島地震の際には、現地の新聞が素早く号外を出して情報を伝えるなど、今でも地方新聞が災害時に持つ影響力は大きい。そこで本研究では、地方紙がこれからも地元の人に購読され、災害時に役立つ存在であり続けるための方法を「神戸新聞」の記事の分析から考察した。 その結果、「神戸新聞」は阪神淡路大震災が発生した際に、全国紙とは異なり被災地への復興へ向けた前向きなメッセージを強く発信していたことがわかった。また、被災者へのインタビューから、被災地ではライフラインの情報はそれほど重要視されておらず、記事の内容よりも新聞が発行されていたこと自体が重要であったということがわかった。さらにその後の「神戸新聞」の記事の分析から、「神戸新聞」は阪神淡路大震災の教訓をほかの地域や次世代へと伝えることを重要視していたこともわかった。 このことから地方新聞が今後も購読者を増やすためには、「神戸新聞」のように大きな苦難に負けることなく、新聞を通して地元に変わらぬ日常を提供し続けるという姿勢を持つことが重要であると考察した。 |
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講評 | 本論は、地方新聞が災害時に果たす役割とその今後の課題について『神戸新聞』を例に考察した興味深い研究である。地方紙が持つ災害時の迅速な情報発信力と、復興に向けた前向きなメッセージの重要性を明らかにしており、新聞の社会的意義を再評価する視点が評価できる。特に、『神戸新聞』が阪神淡路大震災時に示した被災地への寄り添いと、復興に向けた希望を伝える報道姿勢は、全国紙との差別化を明確にし、地方紙の存在意義を強調している。また、被災者インタビューを通じて、新聞そのものの存在が被災地にとって心理的支えとなっていた点を示したことは新たな知見と言える。 一方、改善点として、他の地方紙との比較や現代のデジタル化社会における地方新聞の具体的な戦略について掘り下げが不足している点が挙げられる。たとえば、SNSやオンラインメディアとの連携についての議論を加えることで、地方新聞が今後も持続可能な形で役割を果たすための具体的な提案がより深まるだろう。 全体として、本研究は地方新聞の意義と課題に関する新たな視点を提供しており、地方紙の未来像を考えるうえで有益な示唆を与えるものである。 |
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キーワード1 | 地方新聞 |
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キーワード2 | 災害報道 |
キーワード3 | 神戸新聞 |
キーワード4 | 阪神淡路大震災 |
キーワード5 |