卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名樋口 摩彌 年度2024年度
タイトル美容整形の失敗談に関する情報発信の媒体差からみる 整形実践者の増加原因
内容 近年、「プチ整形」という言葉があるように、美容整形はかなり身近なものへと変容しており、実際に「美容医療の施術数」も増加傾向にある。
これに関して、美容整形を行う心理的特徴や自己満足への関連性についての研究は行われているものの、美容整形に関するメディア表象に視点を当てた研究は見られない。そこで本論文ではテレビとSNSの2つの媒体における美容整形失敗の表象を比較し、美容整形実践者の増加原因を考察した。
美容整形の失敗に関して考察した結果、テレビでは誰から見ても失敗と分かるような極端なものを放送する傾向があった。一方SNSでは、第三者から見ると気付かないような些細な失敗談も発信することで、より身近で現実的なものとして捉えることができるよう発信されていた。
上記の比較研究と美容整形実践者へのインタビューより、SNSで発信されている情報を基に実践する人が多うことが分かり、美容整形の施術数増加に起因していることが明らかになった。
講評 本論文は、美容整形の施術数増加の背景にあるメディア表象の影響を探る斬新な研究である。テレビとSNSという2つの媒体における美容整形失敗の表象を比較し、それが美容整形実践者の増加に与える影響を考察している点が評価できる。特に、テレビが極端な失敗事例を強調し、SNSが些細で身近な失敗談を共有するという対比は興味深い発見であり、メディアの特性が美容整形に対する認識に与える影響を明確に示している。また、美容整形実践者へのインタビューを通じて、SNS情報が実践の動機となっていることを裏付けており、論理的で説得力がある。
しかし、改善の余地も存在する。まず、テレビやSNS以外の媒体や社会的要因が美容整形の増加に与える影響についても触れることで、議論の幅を広げることが可能であっただろう。また、インタビューの対象者の選定やサンプル量に関する具体的な情報が不足しており、研究結果の一般化に課題が残る。
全体として、本論文は現代社会における美容整形の増加現象を理解するための新たな視点を提供している。メディア表象と実践者の行動の関連性を実証的に示した点は、今後の研究や実務においても有用な知見であり、高く評価される。
キーワード1 美容整形
キーワード2 SNS
キーワード3 ルッキズム
キーワード4
キーワード5