内容 |
本研究は、体育会組織において競技結果だけでは測れない多様な価値観とその存在意義について、同志社大学女子ラクロス部Bチームを対象に考察したものである。体育会は競技結果だけではない価値観を持つ組織であり、自己成長や社会的成長といった価値を見出している。インタビューを通して明らかになったのは、幼少期から高校時代のスポーツ経験で培った「挑戦と適応力」「努力の実感と目標達成への喜び」「仲間との協働や支え」「逆境を乗り越える忍耐力」という4つの要素が、主体性や他者との協力、逆境への対応力といった多角的な自己成長を支えている。また、スポーツ経験は個人の成長を超え、社会的な繋がりや組織の一員としての役割を強化するものとして機能していた。Bチームの選手たちは、Aチームとの競技レベルや求められる結果の違いを認識しながらも、自分たちの立場を前向きに捉え、自己成長や組織貢献に存在意義を見出している。さらに、Bチームでの活動は選手たちに居場所の確保、仲間との協力、新たな可能性の発見を提供し、不平等な環境の中でも自らの課題に向き合い、組織全体を改善しようとする主体的な姿勢を持っていた。本研究は、体育会が単なる競技結果を求められる場だけでなく、多様な価値が選手の成長やチームの一体感に寄与することが明らかとなった。特に、Bチームの選手の主体性と前向きな姿勢こそが体育会に存在する意義である。 |