内容 |
この論文は、映画『リング』シリーズと『貞子3D』シリーズのストーリー構造の変化をシーン分析を通じて示し、その原因を明らかにすることを目的としている。映画評論家の発言とシーン分析により、『リング』シリーズでは、サスペンスホラーとして「貞子」の背景情報が物語内で詳細に描かれていたのに対し、『貞子3D』シリーズでは「貞子」に関する情報提供が抑えられ、視覚的かつ直接的な恐怖表現が増加していることが分かった。この変化は、映画のデジタル化とプロモーション手法の進化に関連している。
デジタル化の進展により、CGやVFXが活用されるようになり、現実では再現が困難な映像表現が可能となった。これにより、『貞子3D』シリーズでは、あらゆる画面から「貞子」が飛び出すなどの視覚的恐怖が強調されている。一方、プロモーション手法も、『リング』シリーズではテーマパークとのコラボレーションが中心で観客が能動的に「貞子」の世界に触れる形式だったのに対し、『貞子3D』シリーズでは「貞子」が単体で現実世界に進出し、始球式やSNSを活用したプロモーションが展開された。これにより、「貞子」というキャラクターは認知を高め、作品内での詳細な説明が不要になったと考えられる。 |