卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名水出 幸輝 年度2024年度
タイトル幽霊は何を着るのか ホラー作品における衣服の表象とその機能
内容  本研究では、成仏系の物語の作品に登場する幽霊がなぜ私服なのかを明らかにすることを試みた。ホラー映像作品において作られた幽霊のイメージを物語の構造から解明するために、作品に登場する幽霊の衣服表象を分析している。調査対象としては『リング』、『ほんとにあった怖い話シリーズ』、『ホテルデルーナ~月明かりの恋人~』の3作品を取り上げた。それらの作品に登場する幽霊の服装に着目し、作品を閲覧した上で幽霊の特徴と、主人公との関係性という2点を可視化した。この調査と分析から、幽霊の衣服の表象には、白い衣服を着ている幽霊だけでなく、学生服や入院着、コートなどを着用した幽霊が確認できた。つまり、伝統的な幽霊を踏襲し、形骸化された白い衣服を着用した幽霊から、亡くなった瞬間に着ている服で登場する幽霊まで様々な幽霊が存在していた。衣服の表象は、伝統的なイメージに規定されているだけでなく、幽霊のキャラクターや主人公との関係性といった、物語の構造にも規定されている。
講評  本稿は、ホラー映画・ドラマの作品を用いて、幽霊のイメージと物語の関係を考察したものである。主たる分析対象は、幽霊の衣服であり、幽霊として登場するキャラクターが白い衣服を着ている場合と、私服を着ている場合では、「何がどう異なっているのか」「なぜそのような差異が生じるのか」を検討した。
 『ホテルデルーナ~月明かりの恋人~』を対象として扱いたい、ということは、早い段階から聞いていたが、作品をどのように位置付けるか、あるいは、研究テーマの設定に時間がかかった。だが、悩みながらも取り組んだ作業によって、議論の切り口は明快なものとなり、地道な作業が論文の質を底上げした。
キーワード1 ホラー作品
キーワード2 幽霊
キーワード3 表象
キーワード4 物語構造
キーワード5 キャラクター性