学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 轡田 竜蔵 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 織物と共生する丹後地域ー「TANGO OPEN VILLAGE 」構想を事例にー |
内容 | 本論では、伝統産業が衰退の一途を辿る現代社会において、伝統産業「丹後ちりめん」がどのように存続、未来へ継承していくのかを問いに検討した。理論編では、丹後ちりめんの歴史と現在に注目し、丹後ちりめんがどう発展・縮小し、その産業構造がどう変化したのかに関して言及した。また、丹後織物工業組合や組合に所属する機屋の考える、「TANGO OPEN」ブランド戦略、「TANGO OPEN VILLAGE」構想とは一体どのようなものなのかに関して論じた。調査編では、「TANGO OPEN」に所属する4社の機屋に対して、従業員数、地域、属性、白生地以外の製品といった4つの観点からフィールドワーク・インタビュー調査を行い、伝統産業の現状や課題を分析した。その結果、「高齢化による後継者不足」「グローバル進出に向けた高付加価値化」という課題が明らかとなった。同時に、丹後織物工業組合の目指す「TANGO OPEN VILLAGE」構想の実現可能性についても考察した。結果として、丹後織物工業組合と各々の機屋が相互的協力・グローバル進出の促進による、丹後イメージの世界に向けた発信が重要であり、それが伝統産業の発展と産業振興、将来の伝統産業を担う若者の増加に繋がるのではないか、という結論に至った。 |
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講評 | この論文は、筆者が2022年度に社会調査実習で企画したフィールドワークに始まり、1年間の留学を挟み、3年越しで築いた関係者とのつながりを生かした研究である。本論文では主に丹後ちりめん業者4社への取材データが扱われているが、このほか何度か現地を訪問し、京阪神でのちりめん関係者が出店するイベントに何度か出向き、他の多くの業者と接点をつくった。本論文は、最盛期と比べると激減したちりめん業者のなかで、新たな地域ブランド戦略に参加している23社に注目し、新しいデザイン感覚の高付加価値商品を作るだけでなく、カフェ等や産業観光の展開など、各業者が連携した試みを取材している。ただ、社会学的な研究として独自性を発揮するには、その担い手の属性について分析的に考察したい。その点、4人のインフォーマントの居住歴には、ずっと地元、Uターン、Iターンと多様性があるのが興味深く、それぞれの個人の生活史もきちんと把握したいところである。 |
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キーワード1 | 伝統産業 |
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キーワード2 | 丹後ちりめん |
キーワード3 | 観光産業 |
キーワード4 | 人口減少地域 |
キーワード5 |