学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 轡田 竜蔵 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 多世代居住を目指す持続可能な団地再生の取り組み |
内容 | 戦後の住宅不足に対応するために郊外で急速に増加した団地だが、現在では住民の高齢化と建物の老朽化により衰退し、ゴーストタウンのような状態の団地も存在する。そのような衰退した団地において、空き室など既存のストックを活用し、団地再生、多世代居住を目指す取り組みが各地で見られている。その活動が団地にどのように影響し、どのような効果が期待できるのだろうか。本研究では、この問いを明らかにするために大阪府堺市にある泉北桃山台一丁団地のももポートにて、スタッフ3名と運営関係者2名にインタビュー調査を行った。本研究での発見は2つある。ひとつは、団地内のコミュニティ拠点が住民、特に高齢者の住民にとって貴重な交流の場であること。もうひとつは、本研究で挙げている障害者福祉と学生支援など別の目的と結びつけることで団地再生が持続可能な取り組みとなり、その結果、障害者福祉と学生支援においてもよい影響がみられるということである。本研究を通じて、これらの取り組みを住民の生活満足度の向上につなげることができれば、既存住民の退去抑制、さらには関係人口や新住民の創出につながるという可能性を見出すことができた。 |
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講評 | この論文は、老朽化が進む大阪府の泉北ニュータウンの団地を調査地として、その再生の取り組みを考察したものである。団地の歴史と現在に関する理論的な文脈を的確に踏まえたうえで、空いた空間資源を活用する「団地の潜在的可能性」の事例を検討している。取り組み事例をボトムアップに分析するなかで、①生活満足度向上型、②関係人口創出型、③新住民呼び込み型の3種類に分けるという独自の類型化を試みている点が興味深い。そのなかで、特に泉北では①の類型の活用が重要だとする議論の流れも説得的である。不動産から直接収益を得たい業者からすると、①②の試みは必ずしも収益に直結しない。しかし、近隣都市圏に拠点がある事業所が空きスペースでコミュニティ運営をすることで、住民の満足度が上がり、団地への愛着を高めることは、それ自体として重要である。所得の高くない地域の団地では、そうした試みが優先的に求められている、という示唆が読み取れる。 |
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キーワード1 | 団地 |
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キーワード2 | コミュニティ拠点 |
キーワード3 | 多世代居住 |
キーワード4 | 生活満足度 |
キーワード5 |