卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名轡田 竜蔵 年度2024年度
タイトルテレワーク時代の働き方の変化と社内コミュニケーションのあり方-平成から令和への飲み会文化の変容-
内容 本研究では、テレワークの普及が働き方や社内コミュニケーションに与える影響を、特に「飲みニケーション」に着目して考察した。研究の問いとして、①テレワーク導入後のコミュニケーション変化、②飲み会文化の変容が組織に与える影響の2点を設定し、IT企業勤務者へのインタビュー調査を実施した。調査結果から、テレワーク導入により業務効率が向上する一方、非公式な交流が減少し、社員間の信頼関係や一体感の希薄化が確認された。また、オンライン飲み会は従来の対面交流ほどの満足度を得られず、飲みニケーションの持つ心理的安全性の醸成効果が低下していることが明らかとなった。特に管理職層からは、部下の心理状態の把握が難しくなり、経営者層からはモチベーション低下や組織文化の維持への課題が指摘された。本研究では、歴史的背景を踏まえつつ、オンラインランチや雑談タイムなど新たな手法の効果を検証したが、対面交流の完全な代替とはならなかった。これらの知見を基に、対面とオンラインの融合によるハイブリッド型の働き方と柔軟なコミュニケーション施策の重要性を提言する。
講評 この論文では、テレワークを導入しているIT企業の経営者、管理職、一般社員の計8名へのインタビューから、社内コミュニケーションの課題と飲み会文化の変容について考察がなされている。調査対象者は、オンライン化にともなう非公式交流の減少をネガティブに捉えている点については共通するが、組織の中での立場の違いによって、異なる思惑があることが強調されている。また、コロナ禍以降、飲みニュケーションの機能について、オンライン化で代替する試みがさまざまに実施されたが、いずれもうまくいかなかった経験を踏まえ、カジュアルな対面の1on1ミーティングや雑談の機会を工夫するほうが効果的であると結論されている。オンラインと対面の組み合わせ方についての試行錯誤が続く時代の断片を切り取った貴重な記録だが、他業種も含め、日本企業の飲み会文化の変容と1on1重視の趨勢を俯瞰的に把握したうえで、調査事例を位置づけるとどうなるだろうか。
キーワード1 テレワーク
キーワード2 飲みニケーション
キーワード3 IT企業
キーワード4
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