卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名轡田 竜蔵 年度2024年度
タイトル「新しい」駄菓子屋の在り方
内容 地域にある昔ながらの駄菓子屋は減少傾向にあるが、駄菓子屋文化は様々な形で受け継がれている。本研究では、中でも数年以内に開業した町の「新しい」駄菓子屋に注目し、これまで子どもの居場所という視点でのみ検討されることが多かった駄菓子屋を、より包括的に捉えることを目的に調査を行った。子ども、大人の利用客、店主のそれぞれにとって「新しい」駄菓子屋はどんな価値を持っているのかという問いをもとに、4つの駄菓子屋へのフィールドワークと、店主へのインタビュー調査を行った。調査より、子どもにとっては自由に過ごすことで自我を発散できる場所という新たな価値を確認でき、大人の利用客にとっては、懐古的もしくはレトロ消費的楽しみ方に加え、子どもたちの輪に入り同じ価値観を共有できる場所であることが判明した。店主にとっては、気軽に始めやすい商売でありながら、地域との繋がりを生み出し、地域における自身の存在意義を与えてくれる存在であることが判明した。駄菓子屋が拠点となり子どもと大人が繋がることができれば、衰退している地域コミュニティが再構築され、地域ぐるみの子育てや災害時の共助等も期待できるのではないだろうか。
講評 本論文は、駄菓子屋文化の新しい潮流に着目し、駄菓子の持つ社会的意味の広がりを分析的に捉えたものである。何より、それぞれの駄菓子屋を実際に訪問し、そこでの大人と子どもの動きと相互の関係性についての観察に基づく描写がとてもよい。「新しい駄菓子屋」は、そこが単に子どもの居場所であるだけではなく、大人と子どもの交流を生み出す仕組みを作ること、さらには、店主自身が地域のなかに自身の存在意義を見出そうとしていること、という三つの視点から考えることが重要と分析されている。だが、三つの視点のどこに筆者の関心の中心があるのだろうか。それぞれにさらに深掘りし、分析的な考察ができそうである。例えば、店主たちの文脈についていうと、いずれも1970~1980年代前半生まれの中年世代で、他の仕事との兼業の形態をとっている新規開業者ばかりだという興味深い共通点を発見しているが、その背景要因や世界観はどのように語られているのだろうか。
キーワード1 駄菓子屋
キーワード2 居場所
キーワード3 ナナメの関係
キーワード4 地域コミュニティ
キーワード5