学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 轡田 竜蔵 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 夢追い離脱後のバンドマン―音楽を辞めない意味― |
内容 | これまでのバンドマン研究は、若者文化の中で捉えられてきた。しかし、夢追いコースから離脱後も音楽活動を続けるものや演奏者とは別の形で音楽に関わるものもいる。本稿では、夢追いコース離脱後のバンドマンを「大人バンドマン」と位置付け、8 名の大人バンドマンに彼らの活動の実態と彼らが続ける音楽活動の意味づけについて調査を行い分析した。彼らの活動及びその意味づけがバンドマン自身の自己実現から他者への影響力を志向するものへと変化し、最終的に社会参加的な意味付けへと至ることがわかった。他者への影響力を志向するきっかけとしては、自身の意思で変化していることが確認された。また、社会参加へと変化するきっかけとしては、「共感者」の存在が重要であることが明らかとなり、その共感者と大人バンドマンの間に相互作用の関係が見られた。さらに、大人バンドマンの特徴として、活動機会が限定的であることや、一定の社会との繋がりを意識していることがわかった。このことから、大人文化が「制約を乗り越えながら参加する、社会の中の個人としての活動」であることが示唆された。 |
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講評 | 若者文化に関わる研究者は多くいるが、その先にある「大人文化」とは何かという問いのもとでなされた研究蓄積は乏しい。本論文は、その点に対する問題提起を含み、学術的にみても興味深い。筆者にとって最も重要な先行研究は、野村駿『夢と生きる―バンドマンの社会学』(岩波書店、2024)である。野村は標準的ライフコースから外れる「夢追い」によって若者文化を性格づけ、その夢(=音楽で売れること)を断念し、音楽を離れていく経緯に注目する。これに対して、筆者は「音楽で売れる」こと以外に目標を見出し、音楽活動を続けていくバンドマンの姿に注目している。筆者は調査対象の8人の大人バンドマンを4類型に分けて、「夢を諦める」側面ではなく、音楽と関わり続ける成熟した姿、すなわち社会的な役割を見出すこと、または音楽と緩やかに関わり続けるライフスタイルの形に注目する。この事例以外にも応用し、本格的な大人文化論に発展させる可能性が見える論文である。 |
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キーワード1 | バンドマン |
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キーワード2 | 社会参加 |
キーワード3 | 大人文化 |
キーワード4 | |
キーワード5 |