学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 轡田 竜蔵 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 都市空間における女性の居場所――女性に開かれた「夜の社交場」の実践―― |
内容 | 女性の社会進出が進む現代においても、家事や育児の多くは女性が担っている。多重の役割を果たす女性にとって、家庭や職場から解放され、一個人として過ごせる場所の重要性は高まっている。しかし、都市空間では女性は主に「消費者」として扱われ、主体的に参加できる空間の多くは男性に独占されてきた。本稿の問いは、働く女性が都市空間をどのように経験し、どのような居場所を持っているか、また、従来男性に特権的である社交空間をいかにして女性に開けるかという点である。本稿では20代から60代の働く女性4名にインタビュー調査を実施。さらに2つのスナックについて参与観察とママへのインタビュー調査を行った。その結果、働く女性たちは匿名的で消費者的な「ファスト」の空間と、顔の見える主体的参加を可能にする「スロー」の空間を状況に応じて選択し、都市空間を巧みに使い分けていることが分かった。また、コミュニティ志向のスナックが従来の男性特権的な社交空間を刷新し、女性にも開かれた社交空間として機能していることが分かった。これらのスナックの例は、女性が主体的に参加し、顔の見える関係性を築ける新たな居場所の可能性を示唆している。 |
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講評 | レスリー・カーンの『フェミニスト・シティ』等を手がかりに、「第三空間」(磯村英一)や「サードスペース」(オルデンバーク)の批判的な位置づけを踏まえ、女性が自由に享受できる都市空間を求めるという理論的な視点に一貫性のある論文である。おしゃれ着―普段着(X軸)、ファスト―スロー(Y軸)の座標に、年齢層を異にする数名の働く女性を対象としたインタビューの語りをもとに各種のサードプレイスを位置づけ、そのなかで女性に足らないのは「普段着―スロー」の象限にある「夜の公共空間」であると位置づける。筆者はその一例として、一般的には男性中心的な社交空間となっているスナックに注目し、どのようにしたら女性や若者が客として入りやすくなるのかという関心のもとで、そのような工夫をしている東京都にあるスナックを取材した。調査対象が見つからず苦戦もしたが、女性にとっての都市空間を分析するうえで、重要な視点を提供した論文として評価できる。 |
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キーワード1 | 都市とジェンダー |
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キーワード2 | サードプレイス |
キーワード3 | 女性の居場所 |
キーワード4 | 夜の社交場 |
キーワード5 |