学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 轡田 竜蔵 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 「複業型」コーヒーショップと社会での役割 |
内容 | ボランティア活動や社会的起業を通じて地域での役割や存在意義を見出す動きがある。筆者はボランティアと起業の間にある「複業」を通して、地域のなかで役割を果たしていこうとする試みがあるのではないかと考えた。そこで、カフェや喫茶店が「サードプレイス」として地域での役割を果たすと考え、副業や兼業を含めた「複業型」のコーヒーショップの店主を調査対象とした。事前に配布したアンケート用紙をもとに進める半構造化インタビューを通じ、ライフスタイルや仕事の向き合い方、地域の評価という観点から、地域志向の実態を調査した。結果として、地域において役割や存在意義を見出すことをきっかけに開店した店主はいなかった。しかし、地域の人々がつながる場への参加意識が高いうえ、地域の人々とのつながりを自身の店で感じている現状がある。そして、店の目標やあるべき姿として、顔の見える関係性のなかで自身の場を地域に開いていく姿勢がみられた。店の周辺地域という地縁や血縁とは無関係の場所で、コーヒーショップという場を基準として、そこでの飲食にとどまらず、何らかのテーマをもった集団での交流を求めていることが明らかになった。 |
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講評 | この論文は、ローカル志向の新しい働き方に対する関心から、京都市内にここ10年以内に出店したコーヒーショップに目を付け、その店主7名への取材をもとに考察したものである。ローカル志向の新しい働き方に対する多方面への関心がうかがえる意欲的な論文である。インタビューの記述はリッチで、9万字近くの力作である。筆者は調査対象となったコーヒーショップが、全て他の生業と組み合わせる「複業」の形態である点に着目し、店主たちがコーヒーを媒体として、自分と社会とのつながりを作る工夫をするに至る過程を記述している。取材対象となった店主がすべて京都市外からの移住者であり、地域に足場を築こうとする時間的過程のなかで、職業的役割を社会課題や地域への貢献に結び付けることに関心が広がっていくのだという。調査対象となったコーヒーショップ店主の働き方の特徴を際立たせるためにも、他の「複業」の事例との比較的考察もあれば発展できそうだ。 |
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キーワード1 | 複業 |
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キーワード2 | コーヒーショップ |
キーワード3 | サードプレイス |
キーワード4 | |
キーワード5 |