卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名藤本 昌代・池田 梨恵子 年度2024年度
タイトル習い事における格差の要因の検討―親の社会階層と文化資本に注目して―
内容 学校外教育である習い事は、学力や人格、生涯の趣味形成に影響を与える重要な要素とされる。本論文は、子どもの習い事における格差の要因を明らかにすることを目的としている。本分析では、全国の高校生とその母親を対象としたデータを用いて、母親の学歴や世帯収入、企業規模、働き方、そして日頃の母親の活動が子どもの習い事の数や内容に影響を与えるのか検証を行った。その結果、高学歴の親や高収入の親ほど子どもの習い事の数が多い傾向が見られた。企業規模について、母親の初職では企業規模が大きくなるほど子どもの習い事の数が多かったが、子どもが高校2年時母親の現職では大企業、小規模企業、中規模企業の順に習い事の数が多かった。働き方では、専業主婦の子どもが最も習い事の数が多く、次にフルタイム、最後にパートタイムという順になった。また、母親の活動が活発であるほど、子どもの習い事の数も多く、母親の活動と類似する習い事をしていた。本論文から、親の社会階層と文化資本が習い事格差を形成する主要な要因であり、それら以外でも、時間の余裕や子どもの人数の差など複数の要因が重なることで、習い事の格差が起こっていることが明らかになった。
講評  池田・藤本ゼミの卒業論文は、個々の学生の興味関心を反映したテーマについて、研究・執筆が行われました。13名のゼミ生の卒論のテーマは、①京都市のDVの実態と支援、②ハラール対応飲食店、③子どもの習い事の格差、④大学生のポジティブな休学、⑤大学生の留年・中退、⑥海外での日本人留学生の就労、⑦日本企業におけるAI技術開発の推移、働く場におけるAI導入の影響(⑧運輸業・⑨製造業における需要予測)、⑩部活における組織改革の影響、⑪学生のサークル参加への意識、⑫社会人野球選手のキャリア、⑬家族経営の農業におけるジェンダー変遷、という多様なテーマになっています。また、3年生の社会調査実習で取り組んだテーマを発展させて卒論のテーマを設定した学生も3名いました。調査方法についても、インタビュー調査や参与観察、資料分析、量的データの二次分析まで様々な調査方法や複数の調査方法を組み合わせて、調査に取り組みました。
 全体的に卒論を進み具合が2極化したことで、完成度に差が見られました。早い進度のグループは、広く文献を捕虜し整理できていました。また、分析や考察にもじっくり取り組んだことで、完成度の高い論文になっていました。遅いグループの研究も、それぞれの研究で興味深い事例や新しい知見の提示がなされていましたが、既存の研究の整理と問いの設定のつながりが曖昧になっていたり、既存の研究の中に調査結果を位置づけられていない論文もあり、もう少し早く取り組むことでより完成度が高められたのではないかと思います。
 問いを立て、調査を行い、論文を書き上げる過程は、決して簡単なことではなかったと思いますが、ゼミ生がお互いに励まし合いながら、最後まで全員が粘り強く完成に向けて努力したことを高く評価しています。この経験が今後のみなさんに役立つよう願っています。
キーワード1 習い事
キーワード2 文化資本
キーワード3
キーワード4
キーワード5