卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名藤本 昌代・池田 梨恵子 年度2024年度
タイトル海外における職探しに対する強い紐帯の効果と仕事継続の要因 ―日本人留学生の調査より―
内容 本稿では、留学中の仕事獲得までの方法と仕事継続の要因を明らかにするため計13名の大学生と日本で就労経験のある社会人の方にインタビュー調査を行い、海外での職探しの手段について比較し、また日本人留学生の社会的ネットワークのつながりによる職探しはどのように作用するのかについて分析した。また、仕事獲得後、どのような要素が仕事継続に影響するのかを分析した。1つ目の仕事獲得の比較において、学生の場合、「アルバイト経験の数」や「部活動の功績や趣味嗜好への熱意」の要素が仕事を速く獲得する傾向がある。社会人の場合、「就業経験の長さ」や「働く業界」が同じ、また「専門性の高い仕事」をしていた場合は就業の幅が学生に比べて広がり仕事獲得も速い傾向がみられた。また、学生と社会人の両方にみられた共通点は、短な友人や職場で信頼できる同僚などの強い社会的ネットワークが仕事獲得につながり、飲食店や小売業であれば直接応募の方がオンライン上での応募より速く仕事獲得につながる傾向がある。
2つ目に、「職場の人間関係」、「成長の機会」、「仕事へのやりがい」があげられた。特に「成長の機会」に対して8名が仕事を継続する要因であった。
講評  池田・藤本ゼミの卒業論文は、個々の学生の興味関心を反映したテーマについて、研究・執筆が行われました。13名のゼミ生の卒論のテーマは、①京都市のDVの実態と支援、②ハラール対応飲食店、③子どもの習い事の格差、④大学生のポジティブな休学、⑤大学生の留年・中退、⑥海外での日本人留学生の就労、⑦日本企業におけるAI技術開発の推移、働く場におけるAI導入の影響(⑧運輸業・⑨製造業における需要予測)、⑩部活における組織改革の影響、⑪学生のサークル参加への意識、⑫社会人野球選手のキャリア、⑬家族経営の農業におけるジェンダー変遷、という多様なテーマになっています。また、3年生の社会調査実習で取り組んだテーマを発展させて卒論のテーマを設定した学生も3名いました。調査方法についても、インタビュー調査や参与観察、資料分析、量的データの二次分析まで様々な調査方法や複数の調査方法を組み合わせて、調査に取り組みました。
 全体的に卒論を進み具合が2極化したことで、完成度に差が見られました。早い進度のグループは、広く文献を捕虜し整理できていました。また、分析や考察にもじっくり取り組んだことで、完成度の高い論文になっていました。遅いグループの研究も、それぞれの研究で興味深い事例や新しい知見の提示がなされていましたが、既存の研究の整理と問いの設定のつながりが曖昧になっていたり、既存の研究の中に調査結果を位置づけられていない論文もあり、もう少し早く取り組むことでより完成度が高められたのではないかと思います。
 問いを立て、調査を行い、論文を書き上げる過程は、決して簡単なことではなかったと思いますが、ゼミ生がお互いに励まし合いながら、最後まで全員が粘り強く完成に向けて努力したことを高く評価しています。この経験が今後のみなさんに役立つよう願っています。
キーワード1 強い紐帯
キーワード2 仕事継続
キーワード3 日本人留学生
キーワード4
キーワード5