学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 藤本 昌代・池田 梨恵子 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 家族経営農業におけるジェンダー変遷~3世代インタビューを通じて~ |
内容 | 本論文では、家族経営農業に従事する三世代の女性にインタビューを行い、農業におけるジェンダー変遷を明らかにした。インタビューを通じ、1代目の女性は家事や農作業を当然の義務と捉えつつ、孤立感や負担の大きさを語った。彼女は自己犠牲の精神に誇りを持ちながらも、選択肢が限られていたことへの葛藤も感じていた。2代目では、家庭と仕事の両立に苦しみつつも、キャリアへの意欲が見られた一方で、家庭内の役割期待が課題として残っていた。3代目では、支援制度やジェンダー平等の意識が浸透し、自由にキャリアを選択しながら家庭と社会で柔軟な役割を果たしていた。家事・育児においても、1代目では夫婦間の協力はほぼ見られず、全てを女性が担う状況であったのに対し、3代目では「家族全体での育児」という考え方が浸透し、夫の積極的な関与や支援制度の活用が日常化していることが確認された。このような世代ごとの意識と実態の変化は、制度的支援や社会的価値観の進化だけでなく、当事者の努力や意識変革によるものでもある。本論文は、世代ごとの課題と変化の背景を明らかにし、ジェンダー平等や持続可能な農業経営への重要な指針を提供するものである。 |
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講評 | 池田・藤本ゼミの卒業論文は、個々の学生の興味関心を反映したテーマについて、研究・執筆が行われました。13名のゼミ生の卒論のテーマは、①京都市のDVの実態と支援、②ハラール対応飲食店、③子どもの習い事の格差、④大学生のポジティブな休学、⑤大学生の留年・中退、⑥海外での日本人留学生の就労、⑦日本企業におけるAI技術開発の推移、働く場におけるAI導入の影響(⑧運輸業・⑨製造業における需要予測)、⑩部活における組織改革の影響、⑪学生のサークル参加への意識、⑫社会人野球選手のキャリア、⑬家族経営の農業におけるジェンダー変遷、という多様なテーマになっています。また、3年生の社会調査実習で取り組んだテーマを発展させて卒論のテーマを設定した学生も3名いました。調査方法についても、インタビュー調査や参与観察、資料分析、量的データの二次分析まで様々な調査方法や複数の調査方法を組み合わせて、調査に取り組みました。 全体的に卒論を進み具合が2極化したことで、完成度に差が見られました。早い進度のグループは、広く文献を捕虜し整理できていました。また、分析や考察にもじっくり取り組んだことで、完成度の高い論文になっていました。遅いグループの研究も、それぞれの研究で興味深い事例や新しい知見の提示がなされていましたが、既存の研究の整理と問いの設定のつながりが曖昧になっていたり、既存の研究の中に調査結果を位置づけられていない論文もあり、もう少し早く取り組むことでより完成度が高められたのではないかと思います。 問いを立て、調査を行い、論文を書き上げる過程は、決して簡単なことではなかったと思いますが、ゼミ生がお互いに励まし合いながら、最後まで全員が粘り強く完成に向けて努力したことを高く評価しています。この経験が今後のみなさんに役立つよう願っています。 |
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キーワード1 | 農業 |
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キーワード2 | ジェンダー |
キーワード3 | 育児 |
キーワード4 | |
キーワード5 |