学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 藤本 昌代・池田 梨恵子 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 京都市におけるドメスティック・バイオレンスを取り巻く実態と支援―コロナ禍を経て― |
内容 | 本論文は、京都市におけるドメスティック・バイオレンス(DV)の現状を、特に新型コロナウイルス・パンデミックの影響を中心に検討している。DVは親密な関係にある者間での暴力で、多様な形態を含む。コロナ禍では、緊急事態宣言や自宅待機による外部接触の制限が暴力の深刻化を招き、全国的にDV相談件数が増加したと新聞をはじめメディアではそのように報じられた。特に2020年以降、京都市でも相談件数は数字として増加していた。そこで、公的機関と民間施設の両者におけるインタビュー調査を通じて、コロナ禍での実態やDV被害者の属性や支援の実態、相談内容の特徴を明らかにした。両機関とともにコロナ禍での相談件数の著しい増加は見られず、数字上増えていた相談件数は給付金関連の手続き目的であった事が明らかになった。また、公的機関は法的手続きや証明書発行など実務的支援を重視する一方、民間施設は心理的サポートに重点を置き、両者が連携して包括的支援を提供している。さらに、先行研究と実際の調査を踏まえ、DVの背景には家庭内の権力構造や社会的ジェンダー格差があり、コロナ以前から存在した古い社会通念や規範によるDV被害がコロナというより大きな社会問題によって浮き彫りになったと結論づけた。 |
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講評 | 池田・藤本ゼミの卒業論文は、個々の学生の興味関心を反映したテーマについて、研究・執筆が行われました。13名のゼミ生の卒論のテーマは、①京都市のDVの実態と支援、②ハラール対応飲食店、③子どもの習い事の格差、④大学生のポジティブな休学、⑤大学生の留年・中退、⑥海外での日本人留学生の就労、⑦日本企業におけるAI技術開発の推移、働く場におけるAI導入の影響(⑧運輸業・⑨製造業における需要予測)、⑩部活における組織改革の影響、⑪学生のサークル参加への意識、⑫社会人野球選手のキャリア、⑬家族経営の農業におけるジェンダー変遷、という多様なテーマになっています。また、3年生の社会調査実習で取り組んだテーマを発展させて卒論のテーマを設定した学生も3名いました。調査方法についても、インタビュー調査や参与観察、資料分析、量的データの二次分析まで様々な調査方法や複数の調査方法を組み合わせて、調査に取り組みました。 全体的に卒論を進み具合が2極化したことで、完成度に差が見られました。早い進度のグループは、広く文献を捕虜し整理できていました。また、分析や考察にもじっくり取り組んだことで、完成度の高い論文になっていました。遅いグループの研究も、それぞれの研究で興味深い事例や新しい知見の提示がなされていましたが、既存の研究の整理と問いの設定のつながりが曖昧になっていたり、既存の研究の中に調査結果を位置づけられていない論文もあり、もう少し早く取り組むことでより完成度が高められたのではないかと思います。 問いを立て、調査を行い、論文を書き上げる過程は、決して簡単なことではなかったと思いますが、ゼミ生がお互いに励まし合いながら、最後まで全員が粘り強く完成に向けて努力したことを高く評価しています。この経験が今後のみなさんに役立つよう願っています。 |
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キーワード1 | DV |
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キーワード2 | コロナ禍 |
キーワード3 | 社会規範 |
キーワード4 | |
キーワード5 |