学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 立木 茂雄 | 年度 | 2024年度 |
---|---|---|---|---|---|
タイトル | 日本マンドリン文化の社会史 ―大衆文化の視点から― |
内容 | 本稿は、日本におけるマンドリンの辿ってきた歴史について再考し、先行研究をもとに「大衆文化」の視点から論ずる。細川(2020)の近代日本の音楽史論におけるマンドリンに関する論である「マンドリンは洋行帰りのエリートによってまず同好会が組織され、雑誌を通して都市学生、青年の間でサークルが網の目のように広がり、彼らの強いリーダーシップの下、大震災前に全国大会を持った。」という記載を先行研究にとり、細川の調査範囲より広い範囲の歴史調査、及び20歳から24歳までの若者の大学進学率を研究に含め、「マンドリンは戦前までエリート大学生の限られた文化だったものが、戦後若者及び大学生の急増により1970年ごろ大衆化した」という、細川の論とは異なった命題を検証する。調査の結果、上記の命題は立証され、若者を取り巻く社会情勢、法律及び若者の大学進学率がマンドリン文化の発展に密接に影響を与えていることを説明することが出来た。 |
---|
講評 | マンドリンとの出会いが筆者の卒業論文研究の方向性を決定的に左右することになりました。マンドリンの普及に関する一時資料や二次資料を渉猟し、毎回のゼミではその報告を続けてきたのですが、「これが、どのように社会学になるのだろう?」というのが報告を聞きながら、繰り返し心配していたことでした。ところが、マンドリンの普及が大正デモクラシー期と重なるという事実がきっかけとなり、年表形式でマンドリン普及のキーパーソンを行に、列には年を取り、さらに大正デモクラシー期から戦争、戦後、そして1960年代までの社会史上のエポックを重ねていく作業からマンドリンの普及が戦後社会における大学進学率の高まりと綺麗に相関することを明らかにしました。参考にした先行研究のスコープを戦後社会まで拡張すとともに、より重層的に政治史・社会史を積み重ねていくことにより、マンドリンの展開が、単一の楽器の楽譜ではなくすべてのパートをまとめて記譜したスコアにまで昇華させることに成功しています。 |
---|
キーワード1 | 大衆文化 |
---|---|
キーワード2 | 大学進学率 |
キーワード3 | エリート大学生 |
キーワード4 | |
キーワード5 |