卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名竹内 幸絵 年度2024年度
タイトルスノーリゾートにおける村落共同体の役割と外国資本の影響ー野沢温泉村とニセコを比較してー
内容 本論文は、北海道ニセコと長野県野沢温泉村を比較し、外国資本と村落共同体がスノーリゾート経営に与える影響を考察した。ニセコは外国資本による大規模開発で国際的な観光地として発展を遂げたが、その一方で地域文化の喪失や地元住民の生活環境の変化といった課題も抱えている。対照的に野沢温泉村は地縁団体「野沢組」を中心とした自治で、伝統的な地域コミュニティや文化を維持しながら観光業を発展させてきた。しかし、少子高齢化や国内スキー人口の減少により、野沢でも外国資本の流入が進みつつあり、村に変化が生じている。本研究では、筆者自身の野沢温泉村での「居候」体験を通じて得た村民の視点を取り入れながら、観光開発と地域文化の保護のバランスをどのように保つべきかを探った。今後、野沢温泉村が独自の文化や伝統を守りつつ発展するために必要な要素を明らかにし、持続可能なスノーリゾート経営のあり方を提言した。
講評 筆者自身が学生時代に携わった野沢温泉スキー場での「居候」経験をもとに参与観察を行い、日本のスキーリゾートの現状に問題提起した論文である。野沢温泉には特殊な地域性があり、村落共同体が野沢村でありスキー場を運営している。好対照であるインバウンドを基盤として経済的成功を獲得している北海道ニセコのについて先行研究を読み込み、野沢温泉の状況との比較を試みた。本論の特異点は、2024年現在においても野沢温泉に残る強い地域色、仲間意識の実態(祭礼儀式などを含む)、そして重要なのはこれに共感する大学生の存在(筆者やその仲間たち)の実態がレポートされていることだ。筆者ものべているとおり、インバウンドに頼る観光の危うさは今や日本全国の問題である。この問題にZ世代が体当たりで警鐘を鳴らした論文である。
キーワード1 スノーリゾート
キーワード2 村落共同体
キーワード3 外国資本
キーワード4 持続可能性
キーワード5