卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名竹内 幸絵 年度2024年度
タイトルアイドルに投影されたイメージと大衆文化への影響 -1980年代の松田聖子を事例にして-
内容 1980年代は音楽の多様化が進み、その中でアイドル文化も発展した。松田聖子は1980年にデビューし、清純なイメージと「ぶりっ子」キャラクターで人気を博した。本研究では1980年代前半の松田聖子のイメージとその社会文化的背景を分析するため、計量テキスト分析を用いた歌詞の頻出語の抽出、および週刊誌記事を基にした社会的評価の検証を行った。歌詞分析では「愛」「恋」「自由」といった普遍的なテーマとともに、自然や色彩表現が頻繁に使用されていることが明らかとなった。また、社会的評価に関しては、当初「清純派アイドル」として受容されていたが、楽曲制作への関与を通じて、アーティストとしての側面を強調。松田聖子は「清純な少女」から「自立した女性」へと変化し、時代のニーズに応じて自身の虚像を形成した。その変遷は、日本社会における女性像の変化や消費文化の発展と密接に関わっており、彼女は単なるアイドルを超えた時代の象徴だったと言える。
講評 松田聖子のイメージがどのように社会に影響を与えたのか。この大きなテーマ(アイドル研究)を、堅実な正攻法でやり遂げた。デビュー直後の1980-1984年を対象期間とし、研究方法は二つ、当該期間のアルバム10個99曲の歌詞のKHコーダによるテキスト分析と、『週刊平凡』『週刊宝石』『週刊現代』『週刊サンケイ』の1980-1984年の雑誌記事分析。およそ大学生の卒論としてはこれ以上はないという方法を選び、粘り強くやり遂げた。歌詞からは「リゾート感」(非日常)が強く松田が「豊かさ」を表象していたと結論した。バブル直前期の松田の文化的意味を考えさせる。雑誌記事からは、この間の松田の家庭的なかわいい女性像から主体性のある自立した女性像への脱皮を導いた。雑誌は国会図書館に通い調査したという。アカデミアとしての才能を感じさせる卒論に仕上がっている。
キーワード1 消費社会
キーワード2 80年代アイドル
キーワード3 松田聖子
キーワード4
キーワード5