学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 竹内 幸絵 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | SNS発信行動から女オタクの消費行動を読む |
内容 | 近年、「推し活」は若年層女性を中心に広まり、推し活市場は今後も拡大が見込まれている。そのためSNS利用行動と推し活における消費行動の相関関係を研究した。 推し活の特徴的な消費行動の一つに、同一グッズの複数購入がある。本研究では、この消費行動の動機を明らかにするため、Z世代の女性205名を対象にアンケートを実施し、さらに「痛バッグ」の作成経験者にインタビューを行った。調査の結果、推し活とSNSの関連性は深いものの、SNS発信のためにグッズを大量購入する人は少なく、一方で売上貢献を目的とした大量購入の事例が確認され、一部の消費者にとっては有効な動機であることが分かった。 さらに動機としては「自己満足としての所有欲」が挙げられた。推しグッズを集めること自体に喜びを感じる人も多いという結果が現れた。痛バッグについて、インタビューでは、「時間と労力をかけた愛の表明」として捉えられており、SNSでのアピール以上に、イベント会場での使用を主な目的とする傾向があった。 以上のことからSNSは推し活のうちの一部であり、それ以上にリアルの場での交流を重要視しており、こういった消費行動はこれからも続くと結論付けた。 |
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講評 | 推し活という、 2024年のZ世代の会話に頻出の社会現象をテーマとした論文である。筆者はまず複数の興味深い先行研究(オタク文化からの継承としての推し活、ガラケーからスマホへの写真精度の高度化との関連についてなど)の分析に時間をかけ、研究動向への理解を深めた後、自身の研究を経済効果(≒消費行動)と、SNSでの発信行為を軸とすると決定した。最大の成果は200超の回答を得たアンケートの分析である。予想に反しSNSでの発信は推し活の主たる実施理由ではなく、彼女らは応援の気持ち、そして収集し手間をかけて飾る行為に価値を見出していた。現場(コンサート会場)に持ち出すことの重視、同じグッズの多数購入への着目など同世代ならではの着眼点も面白い。SNS(バーチャル)ではなく対面での推し活に意味を見出す、アフターコロナのZ世代の特徴がみえた大きな意味がある研究である。 |
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キーワード1 | 推し活 |
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キーワード2 | 消費行動 |
キーワード3 | SNS |
キーワード4 | 応援消費 |
キーワード5 | リアルでの交流 |