学科 | 教育文化学科 | ゼミ教員名 | 中川 吉晴 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 現代の集団神経症的傾向からの脱却 ーV.E.フランクルの思想を基にしてー |
内容 | 本論文では、現代の集団神経症的傾向および実存的空虚からの脱却に関して、フランクルの思想に基づいて、以下の考察を行う。第1章では、現代社会に広がる実存的空虚が集団神経症的傾向、全体主義的傾向をもたらしていることを指摘する。第2章では、実存的空虚から脱却するためには、各人が意味への意志を充足させることが必要であることを確認する。また、大衆に属さない少数者の生き方から、人間が本来的に責任・自由・精神を有していることを明らかにする。最後に第3章では、意味発見のためには、良心を頼りにする必要があることを述べる。また、現代社会に広がる実存的空虚について、個人の範囲に止まらず、社会全体に至るまで、それをどうすれば乗り越えられるかについて考察する。特に文学作品との対話を通して、その意図せざる結果として、我々が実存的空虚からの脱却に至る可能性を見出す。 |
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講評 | 本論文は、フランクルのいう実存的空虚が今日においても広く浸透し、現代人の精神的状況(神経症的傾向や全体主義的傾向)を規定していることを示し、そのうえで生きる意味を充足することの意義をフランクルの人間学的視点(精神の自由、責任)から明らかにしている。そのうえで、いかにして意味が見出されるかを、とくに文学作品の読書の可能性から論じている。十分な文献研究からフランクルの思想を的確に理解しているだけでなく、その可能性を新たに開いていること、またハンナ・アーレントの考えを組み入れ、議論の幅を広げていることが評価できる。 |
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キーワード1 | V.E.フランクル |
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キーワード2 | 実存的空虚 |
キーワード3 | 意味への意志 |
キーワード4 | 読書 |
キーワード5 | ハンナ・アーレント |