卒業論文詳細

学科教育文化学科 ゼミ教員名吉田 亮 年度2024年度
タイトル道徳の教科化に対するキリスト教学校教育同盟の主張と対応
内容  本稿では、2018年には小学校、2019年には中学校で全面実施された道徳の教科化に対するキリスト教学校教育同盟の主張と対応を明らかにした。キリスト教学校では元々道徳の時間を聖書科で代替することが認められていたが、道徳が教科化するという動きによりキリスト教学校の危機意識が高まった。キリスト教学校全体としての対応についての研究が先行研究では不足していたため、キリスト教学校団体としてキリスト教学校教育同盟を取り上げ、その主張を分析した。第一章では、道徳の教科化の流れを整理した。第二章では、キリスト教学校教育同盟の機関紙『キリスト教学校教育』等を用いてキリスト教学校教育同盟の主張と対応をまとめた。第三章では、第二章でまとめた主張の内容を、文部科学省著作の『私たちの道徳(中学校)』とキリスト教学校教育同盟編教科書等の比較を通じて分析した。
 人間の弱さへの認識、小さい存在へのまなざし、生命観、学校教育活動全体としての実践的な学びの四点において、キリスト教教育が道徳教育を凌駕しているというキリスト教学校教育同盟の主張を明らかにした。一方で、キリスト教学校教育同盟全体としての対応は不十分だと考えられる点もあった。
講評  「道徳の教科化に対するキリスト教学校教育同盟の主張と対応」は、2018年、2019年と文科省によって段階的に進められた道徳の教科化について、キリスト教系学校が対峙するためにどのような理論構築と実践をおこなったかを考察したものである。事例として、キリスト教学校教育同盟を取り上げ、機関誌その他一次資料の丁寧な分析、さらに文科省及びキリスト教学校教育同盟両者の教科書比較によって、キリスト教教育が道徳教育を凌駕している4点を抽出し、論じることに成功した。キリスト教教育の「公共性」に関する議論を活性化させる質の高い研究である。
キーワード1 キリスト教学校教育同盟
キーワード2 道徳の教科化
キーワード3 聖書科
キーワード4 『私たちの道徳』
キーワード5