内容 |
本稿では、2018年には小学校、2019年には中学校で全面実施された道徳の教科化に対するキリスト教学校教育同盟の主張と対応を明らかにした。キリスト教学校では元々道徳の時間を聖書科で代替することが認められていたが、道徳が教科化するという動きによりキリスト教学校の危機意識が高まった。キリスト教学校全体としての対応についての研究が先行研究では不足していたため、キリスト教学校団体としてキリスト教学校教育同盟を取り上げ、その主張を分析した。第一章では、道徳の教科化の流れを整理した。第二章では、キリスト教学校教育同盟の機関紙『キリスト教学校教育』等を用いてキリスト教学校教育同盟の主張と対応をまとめた。第三章では、第二章でまとめた主張の内容を、文部科学省著作の『私たちの道徳(中学校)』とキリスト教学校教育同盟編教科書等の比較を通じて分析した。
人間の弱さへの認識、小さい存在へのまなざし、生命観、学校教育活動全体としての実践的な学びの四点において、キリスト教教育が道徳教育を凌駕しているというキリスト教学校教育同盟の主張を明らかにした。一方で、キリスト教学校教育同盟全体としての対応は不十分だと考えられる点もあった。 |