学科 | 社会福祉学科 | ゼミ教員名 | 木原 活信 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 摂食障害者の回復における能動性の変化のプロセス──当事者のブログにおける語りの「態」の分析を通して |
内容 | 本論文は、摂食障害者の回復過程における能動性の変化という視点から、摂食障害回復者が手にする能動性の変化、および摂食障害者の回復に向けた福祉的介入の方法を考察したものである。摂食障害は死亡率の高い精神疾患であるが、回復を論じた研究は数が少ない。そこで、國分功一郎の中動態の議論を援用した理論枠組みを用いて、摂食障害回復者のブログの分析を行った。その結果、摂食障害回復者の能動性は、6つの段階を経て、発症時とは異なる性質のものへと変化していることが明らかになった。この6つの段階においては、ゆらぎのある時期が回復のために重要であることが考えられた。また、この結果から、摂食障害者の回復のための支援には、「受容的、共感的、支持的な態度でいること」と、「安心できる空間での安心できる体験により、過去の他者による承認を得なければ生きていけなかった体験を上書きしていくこと」が重要であることが示唆された。 |
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講評 | 本論文は、摂食障害者の回復過程における能動性の変化を、國分功一郎の「中動態」の議論を援用して分析したものである。回復者が自身の過程をどのように語り、能動性を獲得していくかを、当事者のブログにおける「語りの態」の分析を通じて明らかにしている。特に「受容的、共感的、支持的な態度」と「安心できる空間での体験」の重要性を指摘した結論は、読む者に深い説得力を持たせる。さらに、摂食障害回復者が得た経験を福祉的介入に応用する可能性を示した点も注目に値する。今後、実践者として研究成果を検証しながら、さらなる批判的考察を加えることで、より発展的な議論が期待される。 |
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キーワード1 | 摂食障害 |
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キーワード2 | 回復 |
キーワード3 | 能動性 |
キーワード4 | 態 |
キーワード5 | ナラティブ |