卒業論文詳細

学科社会福祉学科 ゼミ教員名空閑 浩人 年度2024年度
タイトル差別の歴史と差別意識 -妖怪や鬼との関係性-
内容 本論文は、鬼や妖怪の起源が差別された人々の投影である可能性に着目し、差別の根源を探ることで差別意識の改善を目指す。第1章では、妖怪を自然現象等の擬人化、鬼を病原菌や渡来人等への恐怖の具現化と考察。特に渡来人と一つ目鬼の関連を示唆。時代と共に鬼のイメージは変化するものの、「恐怖」の対象という根本は不変と論じる。第2章では、奈良・平安時代の庶民と貴族の心理を考察。庶民は病や災いを鬼の仕業と考え、貴族も陰陽師に退治を依頼。穢れの概念から、屠畜等従事者が差別された歴史を説明。陰陽師の禊が衛生効果を持っていた可能性も指摘する。第3章では、差別と区別を定義し、部落差別を例に歴史的背景を解説。「もののけ姫」を例に、差別された人々の集落形成を考察。差別する側の意識改善と法的基準の必要性を主張する。結論として、鬼や妖怪は過去の日本における差別対象の投影であり、目に見えない事柄を見えるようにした存在であるとする。部落差別の根本的な要因は、時代背景、身分制度、未発達な医療技術にあり、歴史的背景を理解することで、部落差別を無くしていくことが必要だと論じる。
講評 本論文は、日本に伝統的に伝わる「鬼」や「妖怪」に関する歴史から、現代の差別問題へのアプローチに果敢に取り組んだ力作である。日本人が歴史的に畏怖した対象を取り上げながらの今日の差別問題に対する筆者の主張は、斬新でありかつ説得力に富む。
キーワード1 妖怪の正体
キーワード2 鬼の由来
キーワード3 差別の始まり
キーワード4 現代社会の差別意識
キーワード5 差別意識の改善