学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 森 千香子・木戸 衛一 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 日本社会における難民の「社会的繋がり」の形成と地域社会の受け入れ——支援者の視点から—— |
内容 | 本稿は昨今の国際問題の一つである難民問題を取り上げた。現在の日本の難民政策は、認定制度と公的支援ともに不十分であるため、民間支援団体が重要な役割を担っている。そこで民間支援団体に焦点を当てることで、日本の難民問題解決の小さな糸口になるのではないかという問題意識に端を発した。また、難民にとって「社会的繋がり」は非常に重要な要素とされており、繋がり形成への支援は国や行政ではなく、民間団体が行っているため、難民の「社会的繋がり」に焦点を当てることで、民間支援団体に特有の課題が明瞭化される。さらに、先行研究では難民の視点から調査されているが、筆者は支援者の視点から調査することで、難民問題を多角的にとらえることを示唆する。この調査を通して、現在の日本社会で難民が「社会的繋がり」を構築したり、維持して強化することは非常に難しいことが明らかになった。「社会的繋がり」が難民の生活の中で機能するためには、地域社会が変化する必要があると考察し、地域社会が難民を受け入れるために必要とされる具体的な体制を示して結論とした。 |
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講評 | 本稿が扱った難民問題は、筆者自身が述べるように「今日の国際社会におけるもっとも重要な問題の1つ」である。それだけに、この人類的課題に向き合う筆者の意気込み、根本的な問題意識をもっと赤裸々に語ってほしかった。筆者は「〔難民の〕立場を思いやる」(1頁)ことなどの必要性を指摘するが、「思いやり」とはあくまで主観的な事柄であって、庇護を求めるのが難民の権利であることをもっと強く意識して執筆すれば、論旨が明快で歯切れのよい論文と仕上がったと思われる。 それでも、難民の「社会的繋がり」という観点に着目し、そもそも植民地主義的・人種差別的な日本で難民を主に支える民間支援者の声を論文に反映したことの意義は認められる。また、論文執筆最終段階で先行研究を一定程度まとめ、新たな知見を盛り込んだ努力は多としたい。日本を含め世界各地で、排外主義・難民排除の風潮が強まっているだけに、本卒論執筆を機に今後もこの問題への関心を深めていってほしい。 |
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キーワード1 | 民間難民支援 |
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キーワード2 | 社会的繋がり |
キーワード3 | 地域社会 |
キーワード4 | |
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