学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 森 千香子・木戸 衛一 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 親は半生、きょうだいは一生―兄弟姉妹が障害者であることの家族関係への影響と精神的葛藤― |
内容 | 本稿では兄弟姉妹が障害者である人々「きょうだい」を研究の対象としている。障害をもつ兄妹姉妹本人でもなければ、その親でもないきょうだいは「親亡き後」といった特有の悩みを抱えている。しかし、依然としてきょうだいは障害をもつ人々やその親の影に隠れた障害者家族の一員として一括りにされ、世間から見過ごされている。また、きょうだいによる自助グループである「きょうだい会」の例会で挙がった悩みの多数が障害を持つ兄弟姉妹というよりも、自身の母親など家族との関わりに集中していた。そこで「家族」という枠組みからきょうだいの問題を問い直すことにした。きょうだいを対象に行ったライフヒストリーの聞き取り調査からは障害者と家族として育つことによる「きょうだい」への影響だけでなく、家族形態の違いが家族との関係性やきょうだいの精神的な負担感に影響を与えていることが明らかになった。障害をもつ兄妹姉妹の「家族」として「一生」を生きていくことが求められるきょうだい特有の在り方とその問題を開示していく。 |
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講評 | 本稿は、兄が障害を持っているという筆者自身の個人的事情を出発点とし、障害者の兄弟姉妹を持つ「きょうだい」の内面の葛藤を、福祉関係のテレビ番組に寄せられた声の分析や「きょうだい」3人へのインタビューを通して明らかにしようとした論文である。そこにはプライバシーに関わる微妙な問題が多々横たわっているだけに、叙述に困難を伴ったであろうことが伺える。もし、たとえば全国きょうだい会の機関紙「つくし」の分析や、地域のきょうだい会へのインタビューにも踏み込むことができれば、より奥行きの深い論文になったと思われる。 筆者が指摘する家族主義の足枷は、たしかに由々しき問題である。それは、日本の極端に劣悪なジェンダーギャップと密接に関係していることは容易に想像できるが、ナチ・ドイツによる「安楽死」に象徴されるように、昨今の強権化・軍事化も何らかの影響を及ぼしているのか知りたいところである。いずれにしても、今後筆者が、政治社会のフェミナイゼーションに主体的に貢献されることを期待したい。 |
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キーワード1 | きょうだい |
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キーワード2 | 家族 |
キーワード3 | 障害者 |
キーワード4 | |
キーワード5 |