学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 森 千香子・木戸 衛一 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | クラシックギターを弾くアマチュア とプロ、およびプロ志望者 ――マイナー楽器を弾く行為―― |
内容 | 本稿は、クラシックギター演奏でプロになることの生き方に迫った。クラシック音楽を演奏するクラシックギターという楽器の知名度は、ピアノやバイオリンのように高くない。クラシックギターの世界でプロになれたとしても、社会的あるいは経済的な「成功」が確立されていない道である。そこで、プロ志望者はなにを求めて夢を追っているのだろうかという問いのもと、プロとプロ志望者へのインタビュー調査を実施し、彼らの生き方に迫った。くわえて、アマチュアでありながらも高い演奏技術を持つ者への調査も行い、プロをめざすことの特殊性を明らかにした。日本におけるクラシックギター教育機関の整備や、プロになる者の多くが歩むルート、そして演奏とレッスンという仕事内容についての視点からも、プロになることについて論及した。夢に生きる喜びと苦悩からあらわれる夢追いの実態、そのなかでもマイナー楽器演奏者の夢追いの形を考察した。職業に対する安定志向とやりがい志向の2つの考え方が浮き彫りとなり、アマチュアとプロという生き方を明らかにした。 |
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講評 | 本稿は、クラシックギターの演奏という筆者の個人的趣味を出発点とし、その社会的な意味合いや奏者の生き方に迫ったユニークな論文である。とりわけ、クラシックギターへの愛情の発露から、10人もの調査対象者にインタビューを行い、プロ志望者・プロ・アマチュアそれぞれの範疇における、および範疇横断的な、「夢追い」の実像を多角的に検証しようとした意欲は評価に値する。 他方論文としては、インタビューの文言はともかく筆者自身による叙述の中に、若干情緒的な文章が散見する。また、ないものねだりになるが、個人個人の「夢追い」とは別次元の問題として、この国の貧弱極まりない文化行政に関する所見をどこかで展開できなかったかと惜しまれる。 文章化しなかったのは由として、評者としては、10人へのインタビューを踏まえ、筆者がどのような人間学的自己分析を下しているのか、そしてそれを自らの今後の人生に生かそうとしているのか関心をそそられる。 |
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キーワード1 | 夢追い |
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キーワード2 | クラシック音楽 |
キーワード3 | プロ |
キーワード4 | |
キーワード5 |